君と出逢ってまた恋をした

□『雨』
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部活も終わり、部室の鍵閉めに
最後1人残った自分。

本当は部活の友達も残っててくれたけど
雨だからって言って先に帰ってもらった。

無事に鍵閉めを終えて、帰ろうとした時、
ふと海を思い出した。

「アイツ、本当に傘持ってないのかな…;」

携帯の時計を見て、6時半だった。サッカー部も雨で早く終わっていた為、数分待つことにした。

周りは静かで
雨の音が激しく響く。

「…っ」

あの時もこんな雨の音で

ゴロゴロ…

雷が鳴りかけていた

ギュッ

無意識に制服のスカートを握りしめる

雨の音も雷の音も次第に大きくなって
現実とあの時の記憶が連鎖するようだった。

あたしに近づく2人の男…。

コツ…コツ…

足音は自分の方へと近づいて

怖がってるのを知られたくないから
あたしは男を睨もうとした…。

その瞬間…

ゴロゴロ…

「おい…」

ドカァアァンッ

「『なんて顔してんだよ』」

「!」

激しい雷が落ちた音と光、海の言葉とあの男の言葉が重なった。

ただ違ったのは
海の真剣な表情と
あの男の醜いにやけた面だった。

「な、なんでもない…
なんでもないんだ…」

顔を横に振って海にそう伝える。


余計な心配をかけたくなかったし
第一、自分の過去を知られたくなかった。

なのに…

「なんでもねぇって
顔じゃねぇーけど?」

「そ、そんな
「今にも泣きそうな顔してるぜ?
お前…」

「!」

海の言葉にあたしは返答を失った。

あたし…
そんな顔してたの…?

ウソ…

なんで…なんで?

「お前が何考えてたのか
俺はわかんねーけどさ…」

ふわっ

「!」

「殻に籠もって溜め込みすぎんなよ?

まぁ、お前の場合
顔に出るから
わかりやすいねんけどな」

「…っ…」

頭を撫でる海の手のぬくもりが
すごく安心した…。

「一言多いんだよ…あんたは」

だから余計に涙が出そうになって、
でも、絶対に泣いた顔なんて見せたくなかったから
あたしは笑った。

嬉しさも含めて…。


いつか…

いつかだけど

海に話せたらいいな

そしたらあんたは
どんな反応すんだろうね?

今はまだ…
その時じゃないから

「でも、まぁ…ありがとう」

「!」

機嫌のよくなったあたしは海に笑いかけた。
お礼を言った。

ちょっとだけ
気分がよくなったから

「まっ、傘に入れてもらわへんかったら
ほんまに風邪引いて
まうしなー」
「なんだそれは…」

呆れながらも
あたしと海は
少しずつおさまってきた雨の中を帰って行ったのだった。




オマケ


「は…?」
「あ…?」

帰り道の途中
あたしと海は多分
初めて一緒に帰る。
互いが互いに部活が忙しく
海に至っては芸能人だった。
なので一緒に帰ることは滅多になかった。

地下鉄まで一緒
これなら話しもわかる。
最近出来た新しい電車も一緒。
まぁここまでならなんとか笑ってられる。

でも、降りる駅も一緒で
帰る方向も一緒だというのに
もう少しで家だという所で
海の存在に気がついた。

「いや…あの…海って家はこの辺なの…?」

「ああ…そーだけどさ…
なにも俺に気を遣ってここまで来ることねぇんだけど」

「は?なにそのポジティブ
いろんな意味で
殴りたくなるから止めてくんない?」

冗談じゃないなにが悲しくてあたしが
男を家まで送って行かなきゃならないんだ
むしろ逆だろう、と思いながら海に呆れる。

「は?そうなのか?
俺はてっきり
イヤイヤいいながらも
お前が俺と一緒にいたいのかとてっきり…
「冗談(怒)」

本気で殴ってやろうかと思ったが止めておいた。

「じゃああたしこの辺だから…じゃあね」
「おう」

そう言って、傘を畳んで家へ向かう道を数歩進むと海も後ろから歩いていた。

「ちょっと…
あんたってストーカー気質でもあんの?」

どこまで着いてくるのかと思い海を睨む

「俺もこっち方面なんだよ」

「じゃあお先にどーぞっ」

止まって、海に道を先に譲る。

そして

「俺ん家、ここだから」

「は…?」

指を差す海の家の場所にあたしは脱力する。

「ま、待ってよっ!
あたしん家の隣りに引っ越して来たのって
あんたなのっ!?」

「は…?」

気の抜けた声で
海はあたしの言葉にきょとんとした。

「だ、だってあたしの家はあんたの一つ先のここだものっ!!」

海を追い越して
自分ん家の門前に立った。

「え…?」

パチパチと瞬きをしながら海はあたしを見る。

「は、ハハハ…」

もうあたしは訳がわからなくて
乾いた笑みを浮かべるしかなかったのだった。





本編とオマケの話し雰囲気が
違い過ぎてウケます。

次回もお楽しみに♪



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