君と出逢ってまた恋をした

□『大ッキライ』
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翌日

ざわめく朝の教室に
浮いた顔で
海は机に1人佇んでいた。

「…」

やっぱり…
隠し通すのは
無理だよな…

俺って本当に

「考えが甘いねんっ!」

バシッ

「!」

言葉と共に海は
頭を殴られた。

「…なんや魂抜かれたみたいな顔しよって…」
「とうとうバレたか」
「お、お前ら…」

振り返るとそこには
痛々しい視線で海を見下ろす
かすみと亜美がいた。

「小さい頃からあんたは
なんかあると放心状態になるなぁ
小6の夏休み開けもそないな顔してたわ」

はぁ、と亜美はため息混じりで言う。

「…そーだっけ…」

だが海はそんな亜美の言葉を気にすることなく
まだぼんやりとしていた。

「お前の言ってた
『女の子』ってゆきななんだろ?」
「!」

海はかすみの言葉で目を見開く。

「やっぱりか…
あんたの言うてた
『女の子』はゆきなやったんやね」
「…本当…俺ってバカだよな…
好きなのに
自分以外の男と離すんがめっちゃイヤで
あいつにめっちゃヒドい言葉を言ってもうた…
ほんまガキやった…
俺は…」

苦笑混じりの表情で
当時のことを
思い出しながら話す海は苦しそうだった。

「あんたの悩みなんて
どーでもええねんっ
あんたが傷つく必要なんてどこにもひとかけらもないねんっ
ゆきなの傷ついた傷を
どうすんねんって話しをしてんねん」
「どうするって…」

海は亜美の質問に迷っていた。

「ある意味二度騙されてるよーなもんだしな
信用度は0…いや、
マイナスつっても
言ってもいい方だな」
「う…っ」

飄々とかすみは海の痛い所をつく。

「だいたい落ち込むくらいなら言わなきゃいいのに
なに勝手に言って勝手に傷ついてんだっての
悪いのはてめぇなんだから
落ち込むなっつーの」
「うう…っ」
「嫌われてるってわかってんのに未練がましく
惚れた女につきまとって
泣かせて、傷つけて
再び落ち込んでちゃあ世話ねぇな
こんタコッ
「なんやねんっ!
さっきから人の傷ばっかり抉りよってぇっ!」

かすみの言葉に傷つきながら海はとうとう我慢出来ずに叫びを上げた。

「おめぇの傷なんざ
ゆきなのに比べたらクソ以下のミジンコ以下だっつーの(怒)」

ガンッとかすみは海の椅子を蹴った。

「んだとー!
俺だってな…

バンッ

「「?」」

かすみと海は互いに襟を掴みあいながら
聞こえた音に
目を向けた。

「…ゆ、ゆきな…?」

勢いよくドアを開けたのはゆきなで
その様子に亜美は
いやな予感がした。

「…」

ツカツカツカ

「!」

早足でゆきなは海のいる所まで歩く。

ガッ

バッシーンッ


「い゛…っ」
「☆!?」
「は、ハハハ…;」

かすみが海を掴んでいた襟を引っ張って
教室から廊下に響くほどの音で
ゆきなは海にビンタを食らわした。
亜美は驚き、海は一瞬の出来事に驚き、
かすみはとりあえず笑うしかなかった。

「…っ」
「!」

ふいっ

ゆきなは海を殴って教室から出て行った。

「さすがゆきなやなー
見たことないくらいの
いったぁーいビンタかまして
どっか行ってもうたで」
「つーことで
目ぇ覚めただろ?
行け、どアホ」
「っ〜…
あん女ぁ(怒)
絶対に捕まえたるかんなぁっ!(怒)」

そう言い放って海はさっきの表情とは変わり
ゆきなを追いかけていった。

「ゆきなのが大人やな」
「本当だぜ」

去って行った廊下を見つめ、
亜美とかすみは呆れていた。

「うーっす
なんかすっげぇ
勢いで海の奴、出て行ったけど」
「お前、ゆきなになんか言ったろ…」

陽気に教室を
入って来た良に
かすみはジトーッと
良を睨む。

「別に、ただ本当のこと言っただけだよ
俺にとったら
ゆきなも大事なダチだし
海に至っては
親友だからな…」

廊下を見つめ、
ゆきなを追いかけて走る海を想像して
優しく良は微笑んだ。

「ほんっっっっとうに
あのバカに弱ぇな(怒)」

「かすみも亜美も
似たようなもんじゃん?」

「あたしは関係ないわっ」












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