君と出逢ってまた恋をした

□『大ッキライ』
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昨日、良に聞いた話し。あたしは
全部良に聞いてしまった。

『どういうこと…?
海の言ってた女の子があたしって…』
『中学ん時…海が話してくれたんだよ
昔、俺は大好きだった子を傷つけたって…』
『え…?』

キョトンとするゆきな。

『好きで好きで
毎日会いに行ってたのに
その子が他の男と喋ってんのが
気にいらなくて
つかなくていい嘘ついて
彼女を傷つけて泣かせちまったって…』
『そんな…絶対違う…っ
だって…』

良の言ってることを認めたくなくて
あたしは首を横に振る。

だが

『ゆきなは信じれないかもしんねぇけど
でも、あいつ今にも消えそうな声で
つらそうな顔で
そう言ってたんだよ…

そんな弱ったアイツを見たのは
初めてだった…

だから
海がゆきなに再会してそれを言えなかったのは
ゆきなをもうあんな風に傷つけたくなかったからで、
思い出す事によって傷ついてほしくなかったからだと思うんだ…』
『わからない…っ
そんなのわかんないよ…』

良の言葉を信じたい。

でもね、怖いの
また裏切られるんじゃないかって怖くなるの

ゆきなは不安と怖さで涙を零す。

『ゆきな、逃げちゃダメだ』
『!』

真剣な顔で良はあたしを見てきた。

『海は昔の自分がやったことにすっごい後悔して
今やり直そうと頑張ってんだ…っ
アイツは確かにバカで
どーしようもねぇ奴だけど
お前に嫌われることになっても
避けずまれても
立ち向かおうとしてんだ…

ゆきなはこのまま逃げてるままでいいのか?

信じられないから
そこで終わりだなんて
ゆきならしくねぇじゃんかっ』
『でも…っでもぉっ』

ゆきなは子供のように泣き出した。

『大丈夫だって!
だってゆきなには
俺やかすみ、亜美、ゆきだっていんじゃんっ

1人じゃねぇよ
だから逃げちゃダメだ…

だってゆきなと海が仲悪いままって
なんかイヤだしさ…

俺はゆきなも好きだけど
海も好きだからさっ

2人には幸せでいてほしいんだよ』
『良…』

あんまり良が純粋に笑うから

『まぁ、裏切られた奴を信じることって
かなり難しいと思うけどさ
逃げないで立ち向かって奴を
俺は知ってるから…

だから不可能じゃねぇと思うんだっ

不可能を可能にすることが出来たら嬉しいし
幸せじゃんっ

だから海とゆきなも出来るよ
絶対…

俺は信じるよ』

あんまりに
自信満々の笑顔でそういうから
なんだか少しだけ悩んでたことが
ウソみたいに軽くなって…

『時間かかっちゃうけど
いいかな…?
みんな…待ってくれる?』
『もちあたぼー♪
ゆきななら時間はかかんねぇよ…
だから
一発アイツをぶん殴ってスッキリさせよーぜっ』
『うん…っ』

良やかすみ、亜美、ゆきがいてくれて良かった。
じゃなきゃあたしは
ずっと悩んだままだった。

暗い暗い
深い闇の中に
光が差し込んだ気がした。













怒らなきゃいけない

怒らなきゃいけないのに
「…っ…」

なのに…っ

「な、なんで泣かなくちゃいけないのよぉ…っ」

海を殴った瞬間。
なぜか涙が出た…。

なんでだろう

泣くなんて一番卑怯だ…っ

バンッ

「!」

ビクッ

「はぁ…はぁ…っ
て、てんめぇ…」

息を切らした海がゆきなのいる屋上に現れ
まさか追って来てるとは知らずゆきなは海の登場に驚いた。

「…な、な…っ」
「(怒)」

な、なんかめっちゃ怒ってんだけどっ!

つーか普通は
逆の立場じゃないのっ!?

海の詰め寄り方にゆきなは内心ビクビクしていた。
そして海が急接近してきた瞬間…

「…っ」

ぎゅっと
強く目を瞑る。

ガシャンッ

「…え…?」

目を開けるとフェンスに手をかけて
あたしを見下ろす海がいた。

「…ごめん」
「!」

苦しげな表情で海はあたしに謝って来た。

「俺、お前の気持ちなんて全然考えてねぇガキだった…
お前を泣かせた瞬間、
バカだと思った…

なんであんな言い方しか出来なかったのか
本気で悩んだ…

二度とお前の前に現れるつもりも資格もねぇって思ってずっと諦めてた…

でも、そんなある日
お前は…俺の前に現れた…」
「え…?
2回しか会ってないって…」

前回言ってた海の言葉を思い出して声を漏らす。

「数に入れなかったんだよ…
思い出してほしくなかったから…
全部で俺はお前に3回会ってる
そのうち接触が3回で
ただ単に俺がお前に会ったのが2回で
接触は1回目が低学年の時、2回目は小6の時、
んで3回目が
中2の時だ」
「中…2…?」

中学ん時の記憶をたどりながら
ゆきなは遡っていく。


「俺がケガして
公園のベンチで休んでた時にお前から
声かけて来たんだよ」
「え…?
あたしから?」
「まぁ、髪色がハニーゴールドだったし
目の色もグリーンに変えて
身長も声も変わっちまったから
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