シュガーソルト

□『自覚』
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Yn side

「うわー
やっぱりカッコイイー」
「あんな人の彼氏になれたら素敵だよねー」

そう目線の先の人物をみながらウェイトレスをする女子はいう。

「ね、ゆきなもそう思わない?」
「思わない」

躊躇いなくあたしはそう放った。

そう、目線の先の人物とは
あたしが、よく知ってる人物
同じ部屋の同じ学校の異性。

「あの星安さんデザートお願いしてもいいですか?」
「…はい」

これを世間では甘いマスクというのかはわからんけど
麻見 海は何故だが女にモテていた。
なにゆえあたしのいるバイト先に働くことになったのかわからないが
新手のイジメなのかも知れないがあたしはあまり麻見に近づかないでいた。

(みんなは騙されてる…
あいつの本性なんて
どスケベの変態野郎なんだぞ!!!)

そう思うがいいたいが言ったあとのが、怖いと悟り。
麻見がオーダーを取ってきたデザートを作りはじめた。

「ふーん、ゆきなうめぇな」
「おい、なんで素に戻ってんだ…」

二人っきりになると麻見は必ず素で話しかけてくる。

「あんたもやればいいじゃないか
慣れれば簡単だけど?」
「いや、俺はそういうのは不器用なんで」
「は?あんたに苦
手なもんあるの?」
「え、ゆきなちゃん 俺も一応人間だからね?」

意外だった。
麻見はどうやら家事一般が苦手なようで
料理は食べる専門なようだった。
それ以外ならソツなくこなせるらしくそれもそれで嫌味に聞こえたが無視だ無視。

それにあたしは最近困ってることがある。

「はい、出来た」
「サンキュー
今度は、俺にも作ってよ」
「…っ」

ドキンッ

出来たデザートを海は運ぶ。その前にニッと笑顔を向けられた。

(な、なんであたしドキドキしてんのよ)

そうなのだ
最近、無駄に麻見にドキドキする。
気づいたら顔が赤くなるし
なるべく二人っきりになるのを避けてたりした。

それに
海のいう恋人ごっこも普通になった。
キスもないしそれ以上も最近はない。
パシリ的な扱いはある程度はあるが本物の恋人がやることはなくなった。
海は事情があるみたいな感じで言ってたがその事情はわからない。
初めの方はああいうことしなくて良いんだって思ったら心軽くなったけど
でも、なんか…最近は

(ちょっと触りたい、とか思ったりして…)

「ってバカか;」

自分の思考に少し焦った
ありえないありえない
あたしが男に触りたいとか

「…ま
ぁ、いいや…」

今日、1日裏方担当のゆきなは
洗い場に溜りに溜まった皿を洗うことにしたのだった。


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