シュガーソルト

□『野外学習 1』
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「うっわーーーーーー!
やっべぇーーー!!
めっちゃ景色最高なんだけどっっ!!」

そう陽気にはしゃぐのは
この物語の主人公でもある星安ゆきなだった。

「んだな
景色最高だなー」

呑気にいうのは同じクラスの良だ。

「まぁ、そんなん思うの俺らだけだろーけどな…」

大きい岩石に腰掛けながら
お茶を飲みながら
落ち着いてるのは海だった。

そう
ゆきな、海、良の学校は
ただいま二泊三日の野外合宿へ登山に来ていた。

ただし、登山と言っても
普通の甘んじた登山とは程遠く
ゆきなたちの通っている高校はスポーツ名門の、男子校の寮生学校だ。
なにをやるにもスポーツが基準で
単位が1番高い。
厳しい学校だがメディアで活躍するスポーツ選手は大体がこの学校から出て行ってビックになっていた。
1年生のうちから
基礎体力を、作り
2年生で応用し
3年で成果を見せる。
そういった教育をしていた。

だがしかし
いくら男子と言っても
本日登る山は岩が多いせいか足場は悪く
上に行けば行くほど酸素がきつかったりした。
ものの30分でくたびれる者が多いのが当たり前なのだが
冒頭の3人は違っていた。

海、良は飄々と山に登り
頂上に到達しても表情は淡々としていた。
1年生で既にレギュラーの2人
体力だけでなく肺活量や脚力も鍛えられているようだった。

しかし、
この2人よりすごいのがいた。

誰よりも先に前を歩き
上に上がるほど
表情は生き生きとし、
小さい身体とは到底無縁だと思われる並大抵ではない体力と脚力、肺活量
足場の悪さなど御構い無しに
余裕綽々で一番先に頂上に着いたのは
この学校では唯一紅一点の
ゆきなだった。
ただしゆきなが女と知っているのは
同室の海とその、親友の良だけだ。
学校ではゆきとと名乗っている。

そんなゆきな、海、良の姿を見た
後続の生徒達は3人の体力の凄さに呆然としているのみだった。

「…あ、あいつらすげー…」
「特にあのチビは
ハンパねぇな…;」
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