君と出逢ってまた恋をした

□『名前』
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「ん〜!!
今日もいい天気だなぁ〜!!」

「そう、だね…」

空はまさに快晴。
屋上で昼ご飯を
済ませたあたしと麻見。

伸びをしながら
寝転ぶ麻見はまさに
今にも寝そうな雰囲気だった。

だが
麻見とあたしの距離は
1mくらい。

理由は簡単

(あたしは男が苦手だ…っ)

簡単な理由だった。

入学してから
4日が経った。

麻見と関わるようになって
更に友達が出来にくくなり(特に女子の目)
今もこうして
一緒にご飯を食べていた。

「あんさ〜…
星安ちゃん」

「…なに…?」

「そんなに
離れられたら
さすがの俺も悲しむよ?」

「ひ…っ!?」

いきなり起き上がり、
近付く麻見の顔は
笑顔というより
悲しみというより

(怒ってんじゃんっ!)

顔は笑顔だが
どこか怒っている麻見。
顔をずいっとあたしの方へ
近づける。

「な、なんであんたが
怒ってんだよ…っ」

「ほら、また俺のこと
“あんた”って
俺は星安ちゃんの
ダチなわけよ?」

「だ、だから…?」

おずおずと聞くゆきな。

「『だから?』って
なんだよっ!!
俺は名前でだなぁ
「おっ♪
海、発見〜!!」


「「!?」」

あたしと麻見は
同時に声がした方へと
振り返る。
「ゲッ…良」
「中原くん…」

麻見の声をかき消したのは
あたし達の
クラスメートである
中原 良くんだった。

「ん?
なんで海が星安さんと
一緒にいるんだ?」

首を傾げ
きょとんとする
中原くん。
その姿がなぜか
可愛く見えた。

「友達だからだっ!!」

胸を張って麻見は言う。

その姿が
あたしにとっては
恥ずかしく見えて
あたしは小さくなりそうだった。

(そ、そんなに胸を張らなくても良いんじゃ…)

「俺って言う
無二の親友を置き去りにして
女の子とイチャつくなんてぇえぇっ!!」

嘘泣きをする中原くん。
「そういう
言い方はやっめっろっ(怒)
お前のその言動が
俺が女子に興味ない、
みたいに伝わってんだからなっ!!」

2人はギャアギャアと
くだらない言い争いをしていた。

(中原くんって
麻見と同じくらい
モテるよね…)

サッカー部で
面白い性格から
女の子にモテモテの
中原くん。

確か麻見と
同じ中学から
来たって言ってたような…。

自己紹介で言っていたことを思い出したゆきな。

「で?
ゆきなちゃんは
なんでこんな
たらしと一緒に
飯なんて食ってんだ?」

「へ…?」
ボケーッと
ご飯を食べていたあたしは
中原くんに
話しかけられて
キョトンとした。

気がついたら中原くんは
目の前にいた。

「あ…っ
え、えっと…
なんでって…」

「星安ちゃんは
俺の従兄弟で
なんやかんやで
友達になったんだよっ
わかったなら帰れ」

「なんやかんやじゃ
わから〜ん」

おどおどとしている
あたしは中原くんの
質問にしどろもどろしてしまい
それを見かねた麻見が
ペラペラといろんな箇所を省いて
話していた。

しかしその答えに
中原くんが
認めるわけもなかった。

「海と従兄弟かぁ〜
世間は狭いなっ」

ニッと笑う
笑顔は爽やかだった。

(からかわれなかった…)

あたしは
絶対にからかわれると
思っていたから
からかわれなかったことに
拍子抜けしてしまい、あたしは嬉しくなった。

(不思議な男子だな…)

「海が友達なら
俺も友達なっ!!」

「え?」
「はぁ!?」

ほぼ同時に
あたしと麻見の
素っ頓狂な声が重なった。

「だって海が女子に近づくのって珍しいし
海が自分から行くくらいだから
きっといい子だと思うからさっ
よろしくな?
ゆきなっ!」

「!」
「な…っ!?
なんでお前が
俺より先に
名前で呼んでんだよっ!!(怒)」

呑気に笑う中原くんと
なぜか怒っている麻見。

そんな中あたしは…。

「ゆきな…
顔真っ赤だよ?」

「あ…っ///
あ、あたし…
名前で呼ばれるのって
あんまり慣れてないから…///」

カァアァアッ

「俺のことは
良って呼んでくれよ?」

「う、うん…
よろしく…り、良」

まだ呼び慣れてないけど
少しずつ慣れていけたら良いな…。

しかし、ゆきなは気がつかなかった
海がその様子を
見ていたことに。




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