君と出逢ってまた恋をした

□『名前』
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帰り際

(部見学に
行かなくちゃ…)

あたし達一年生は
一年間は必ず
どこかの部活に所属しなくちゃいけない
義務がある。

どこの部活が良いか
判断するために
部活見学と言うのを
一週間行っている。

掃除を終わらせ、
演劇部の行っている
教室へと向かおうとした時…。

「おい、こらっ(怒)」

「ぎ、ぎゃあっ!?」

ガシッと頭を掴まれ、
上を向けさせられた。

「あ、麻見…っ」

「ムッ」

なにが気に食わないのか
麻見はなぜか
怒っていた。

「ど、どうした…?」

「良は良で
どーして俺が
麻見なんですかー」

「は?」

急に何を言い出すかと思えば名前のことで
麻見はまだグダグダ言っていた。

「気になんの?」

「べ、別にー
俺はどうでも良いんだけどー
対等でも良いんじゃねぇの?」

言葉とは裏腹に
頬をぷくぅと膨らませ
目を逸らし
拗ねていた。

(対等…ね…)

「つまり名前で
呼ばれたくて
良に嫉妬してたの?」

「バーカっ
違いますー」

「ムッ…

じゃあ呼びませーん
あたし忙しいんで
また明日ー」

「あっ…」

本当に素直じゃない奴…。

そう思いながら
ゆきなは
教室から去ろうとする。

ピタッ

(そう言えば…
今あたし
また明日って…)

脚を止めて自分がさっき言った言葉を
思い出した。
(また明日、か…)

麻見が友達になってくれる前は
こんな言葉が言えるなんて
なかったんだよね…。

そっか…。

クルッとあたしは
後ろへ振り返った。

「!」

ビクッとする麻見。

「サッカー部には
見学行かないの?

海」


ニッと笑うゆきな。

「い、今…
「まぁ、見に行かないなら
良いんだけどねー」

そう言って海に言われる前に
背いて教科書を抱えながら
ロッカーのある
土間まで向かう。

「ま、待てっ!!
ゆきなっ!!」

「!」

ドキッ

良に名前を呼ばれた時より
ドキドキした…。

なぜかわからなかったけど
少し、嬉しかった。

「フフッ…」

クスクスと笑いながら
ゆきなは
後ろから追ってくる
海に気づきながらも
前と進んで行った。

たわいのない
“また明日”が
言えるのは
幸せなことだって
気がついたんだ…。





おわり☆

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