君と出逢ってまた恋をした

□『食券』
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あたし達の学校
生華高校は
行事が
一番盛んな学校で
1ヶ月に一回は
必ずと言って良いほど
この学校の
行事は多かった。

そして今回、
記念すべき
第1回 入学生歓迎会を
学校のグラウンドで
行われることになった。

「なんでも毎年恒例の
入学生歓迎会には
障害物競争と
宝探しの2つのゲームを
クラス半分に
分かれてやるらしい…」

担任の旭川 雷
雷ちゃんが
呆れたように
プリントに
書かれた文字をつらつらと
読んでいた。

「とりあえず
どっちが良いか
20人づつ別れて
そん中で更に
5人一組の
グループを作って
各自でグラウンドに出てくれよ〜」

そう告げて雷ちゃんは
教室から出て行った。

(障害物競争か
宝探しか〜…

体力に自信がないから
宝探しにしようかな…)

まぁ、
頭にも自信はないけど

と思って
あたしは
移動しようとした時。

ガッ

「い…っ!?」

急に後ろから腕が
首に巻きついてきた。

「…ゆきなは
俺らと一緒に
障害物競争な?」

「な…っ!?」

振り向くと
そこには
爽やかなくらいの笑顔で
海が笑っていた。

「し、障害物競争って
あたし体力無いんだけど…」


「大丈夫大丈夫っ!!

なんとかなるって(笑)」

笑いごとじゃねぇよ

とか思いつつも
海に引きずられていく
あたしだった。

「でもよー
後、2人どーすんだよ」

両腕を頭の後ろに
組んで良は
海に問いかけていた。

「そうだよな…

おっ!」

周りを
キョロキョロと見て、
海は誰かに
目をつけたようだった。

「かーすみー!!」

「あ?」

「!」

(かすみちゃん…?

確か…)

海は名前を呼ぶ。

すると
金髪の髪の子が
眉間に皺を寄せて
海を見る。

「お前
障害物競争やれよ

んで
俺のチームなっ」

「は…?」

急に海はかすみちゃんに
話しをして
勝手に決める。

そんな海に
かすみちゃんは
きょとんとしていた。

佐原かすみちゃんは
金髪で
身長は高く
170はあるくらいで
美人で男女ともに
目を向けるほどだった。

だけど
彼女にみんなは
引け目を感じている。

それはなぜなら

「んであたしが
んなめんどくせぇこと
しなくちゃなんねぇんだよ…」

「良いじゃん
暇だろ?
元ヤンなんだから
それなりの
力くらいあんだろー」

海はかすみちゃんに
そう言う。

かすみちゃんは
元ヤンキーで
美人なのに
怖がられていた。

「そうだな〜
かすみ体力は
それなりに
あるしな〜」

のんびりと
良は言いながら
かすみを
見た。

「あのなぁっ
「ええんとちゃう?
あたしも
体力には自信あるしー」

「おっ
亜美もいたのか」

かすみの後ろから
ひょこっと現れる
女の子。

金谷亜美が
飄々と答える。

亜美ちゃんは
関西出身の子で
可愛くて
天真爛漫な所が
男子に人気で
明るい子だった。

「んじゃあ
このメンツで
決まりなー」

あっさりと
グループが
決まったことに
あたしは
ポケーッとして見ていた。

(本当…
海って人脈広いな〜)

「ほんで?
ユッキーも
海に無理やり
引き込まれたん?」

「え?
あ…うん…まぁ」

急に亜美ちゃんに
話しかけられて
あたしは
キョドったが
なんとか落ち着きを
取り戻した。

「人聞き悪いぞ
ゆきなが
迷ってたからだなー
「迷ってませんけど」

「うっそでい
めっちゃくちゃ
迷ってたぞ」

「気のせいじゃない?」

勝手に難癖を
付けてくる海との
やりとりを
適当に返す。

言いがかりも
良いところだ。
あたしは
宝探しで地味に
過ごすつもりだったのに

海に邪魔されたあたしは
どうやって迷惑を
かけないようにするか
考えていた。

「まっ、
適当にやってくれや…」

ふわぁと
美人な顔には
そぐわない
大きな欠伸を
かすみちゃんは
やる気無さそうに
言っていた。

「賞金はなんやろな〜」

「鉛筆とか
ふざけたこと言ったら
ボッキボキに
しちゃうけどな〜」

賞金を
楽しみにする
亜美ちゃんと
賞金を
想像しながら
良は恐ろしいことを
口にした。

「まっ、
とりあえず
楽しむかー」

子どものように
はしゃぐ海に
あたしは
対称的な
気持ちを抱いていた。

(ああ…
無事に終わりますよ〜に)


そんな思いとともに
あたしらは
グラウンドへと
向かった。


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