君と出逢ってまた恋をした

□『離れても…』
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「フンフン♪」

鼻歌を歌いながらルンルン気分で
移動教室から
帰るあたし。

爽快なくらいに
晴天で
気分も爽快だった。



そして
教室に帰ったあたしは…。








ガヤガヤとざわめく教室、
昼放課の教室は
賑やかだった。

しかしそんな
昼放課の賑やかさから
地獄に落とす
不届き者がいた。

「たっだいまぁ〜
って

あぁああぁあっ!!

「んぁ?」

マヌケな声を出すのは
アイドルかつ従兄弟の
麻見 海。

「な、な、なんで
なんでなんで
あんたが
あたしのチョコレート食ってんだよっっ!!」

「机の上にあったから
俺が食ってやってたんだけど…
なにか問題が?」

「ありすぎんだろっ(怒)」

ガンッ

「がっ!?」


これでもかってくらいの
全力な力で
あたしは海を
ど突いた。

「ど、どーして食べちゃうのよっ!!
これはあたしが…っ
あたしがやっとの思いと決断で勝ったチョコなのにぃいぃぃっ」

机に突っ伏しながら
嘆きまくるあたし。

食べ物に誰より
執着心が強いあたしは
悲しさと怒りが
心に溢れていた。

「…て…」

ガタッと席を立つゆきな

「は?」


「今すぐ同じやつを
一分以内で買ってきて…」

「!?」

鬼のように海を
睨みつけるゆきな。

「このチョコはねぇ
普通のチョコじゃないのっ!!」

「いや…味は普通だったけど…」


ブチンッ

「殺っ!!(怒)」

「う、うわぁあぁあぁっ!!」


怒りの頂点に達したあたしは
教室だと言うことも忘れ、
海に殴りかかった。

「たっだいま〜♪




ってなに楽しそうに
イチャついてんねん」

「「どこをどーしたらそう見えんだぁっ!!」」

移動教室から帰ってきた亜美が
ケンカ中のあたしらの姿を見て
からかってきた。

「ん?
せやけどな〜

体勢や格好なだけに
そう見えてまうのは
しゃあないで〜」

「「は…?」」

そう亜美に言われて
あたしと海は
互いに顔を見合わせた。

「「!!///」」

カァアァアッ

衣替えの時期の為、
Yシャツは乱れ
ボタンがいくつか外れていて
鎖骨から胸板までが見えて
あたしが海の膝の上に乗っていた状態だった。

しかも首根っこを掴んで回しに回していたせいか
顔が近かった。

「ち、違っ…
あたしが
悪いんじゃないんだっ
元はと言えば
全部全部、海が悪いんだっ!!」

「はいはい〜」

クスクス笑いながら
いつものように
あたしと海のケンカをちゃかして
自分の席に座って
昼食の準備をする亜美。

(あたしだって
チョコくらいで
ガタガタ言いたかないわよ…

でも…

このチョコは…)


「ゆきな…?」

さっきの勢いが下降し
海はゆきなの顔を
覗き込む。

「…ん…?」

弁当箱をゆきなの席に
持ってきた亜美は
机の上にあった
チョコの空箱に気がついた。

「あぁああぁっ!?

このチョコはぁああぁっ!!!」


亜美の叫び声に
みんなの視線が
亜美へと注がれた。

「こ、これは…っ
あの人気歌手の
リヒトさんがCMで
食うてるチョコやんかぁあぁっ!!
しかも先着1,000名様限定の
リヒトさんがデザイナーした
チョコのパッケージっ!!
更にっ!!
ハートのチョコ入ってた人は
チョコの裏に書かれてる8桁の番号を
リヒトさんのファンクラブサイトで入力したら
プレミアLIVEがもらえるちゅう
優れもんのビッグチョコやでっ!?

これがここに
あるちゅうことは
当たったんかっ!?」

亜美はすごい勢いで
チョコの存在を
説明し、あたしの方へと振り返った。

「そう…
当たる訳ない、って思って応募したの…
そしたら
当たって…

なのに…っ
なのにあんたって奴はぁああぁっ!!(怒)」

「ち、ちょぉ待て、
待ってくれやぁあぁっ」

再びあたしは
怒りを沸騰させ
海の首根っこを掴み揺らす。

「全部食べてまったんやったら
助けるすべはないな〜…」

うんうん、と頷きながら
亜美は人事のように言う。

「ちなみに
ハートのチョコは
入ってたん?」

弁当箱を開けて
食べる準備をする亜美。
本当に自由な亜美に
あたしはなにも言えなかった

普段ならという条件付きで。

「…入ってたの…?」

いつもより
何倍も低い声で
海に問いかけるあたし。

(もし…入ってたら…

あたしは…)

「…入って…ました…」

「!!」

苦虫でも潰したような
表情で海は
呟くように言った。

「…そっか…入ってたんだ…」

海の襟から手を離した。

「ゆきな…?」

「さ〜てご飯ご飯ー!!」

「!」

何事もなかったかのように
あたしは立ち上がって
亜美の待つ机へと向かい
腰を落ち着かせた。


「…」

海はしばらくゆきなを
見ていた。








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