君と出逢ってまた恋をした
□『雨』
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放課後
「はぁ…マジ憂鬱なんですけど;」
「なんでだ?
俺は全然平気だけど?」
本人を目の前にして憂鬱だと嘆くゆきな
その表情とは全く反対で海は満面の笑みをしていた。
「たく…なんであんたなんかに
英語教えてもらわなくちゃダメなんだ」
ぶつぶつと文句を言いながら
英語の課題を海に教えてもらっていた。
「仕方ねぇーだろーが…
亜美は新体操部だし
かすみはあの見てくれでバイト…
良なんて英語は論外だ
だとすりゃあ
おんなじ英語の課題忘れた俺とお前が
一緒に英語すんのが
一番らくじゃねぇか」
「…そりゃそうですね」
海を見ずに英語の課題を見るゆきな。
「…」
チラッとゆきなを見ながら
海はゆきなの様子をうかがう。
そして窓へと視線を変える。
「あ…」
「え…?」
小さく呟く海の声にゆきなは反応した。
そして海の視線へと目を向けると
外は雨が降り出してきていた。
「―…」
「マジかよ;
本当に雨が降るなんてな…」
外の雨を見ながら海は嘆く。
しかしゆきなは窓の外を見たまま無言だった。
「こりゃあ本当にゆきなと帰るしかねー…」
からかうように海はゆきなの方へと振り向いた
しかし
「…っ…」
悲しそうな、苦しそうな表情で
ゆきなは窓から目をそらした。
「ゆきな…?」
「あ…あたし、部活行くわっ!じゃあね」
そう言ってゆきなは鞄を持って教室を後にした。
「…雨か…」
ゆきなが去った教室に海はしばらくいた。
窓の外を見つめながら
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