君と出逢ってまた恋をした

□『姉妹』
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「はっわぁー
なんやこの雑誌…」
「どうかしたのか?」
「なになに?」

亜美の驚きの声にあたしとかすみは
不思議に思って亜美の読んでいた雑誌に
目をやった。

「なになに…?
麻見 海のプロフィールを
知ろう!
だって…?」

かすみが雑誌のタイトルを読み上げていた。

「そっか…
海って一応は芸能人なんだよね」

ハハハ…と軽く笑っているあたし。

ガシッ

「!?」
「一応、ってのは
余計なんじゃねぇのか?
ゆきな(怒)」
「い、痛いっ」

気配なく近づいて来た海にあたしは頭を掴まれていた。

「趣味は音楽鑑賞に
得意のサッカー…
好みのタイプはちょっと鈍感で放っておけない子」

つらつらと亜美は本人が目の前にいるのにも関わらず
海のプロフィールを読み上げだした。

「ほー
海の好きなタイプは
ちょっと鈍感
放っておけない子
なんだなー」

ニヤニヤとかすみは強調するように話しながら
海を見る

「変わった子がタイプなんだね、海って」

好みのタイプを聞いて率直な言葉を伝えると…。


「「「は…?」」」
「え…?」

海、かすみ、亜美は
呆れ顔と声で
あたしを見ていた。
その意味がわからないあたしは
首を傾げる

「ゆきなは
ゆきなやもんなー」
「え…?」
「変わらずそのままでいろよー」
「ち、ちょ…」
「アホ」
「な…!?」

次々に言いたいことを言ってくる3人に
言葉を挟む隙さえなくコテンパンにされた気分だった。

「あれ?
ゆきな教室にいたのか」
「おはよう、良
あたしならずっと
この教室にいたけど?」

良の言葉を疑問に思いながら
あたしはそう伝えた。

しかし良は…


「っかしーな…
じゃあさっき職員室で見た女子は
誰だったんだ?」
「え…?」
「幻覚でも見たんじゃねぇか?
あたしらはこの教室から一歩も動いてねぇしな」

ずっと一緒にいたと証言するかすみ。
あたしは良の言葉にもしかして、と考え出した。

「ねぇ…良、それってー…

ガラッ

「席につけよー」
「キャアッVv
雷ちゃーんっVv」

話しの途中に雷ちゃんが
入って来た。
それによって話しは中断して
あたし達6人は席に着いた。


(まさか…いや…
でも、そんなことないない…)

いやな汗をダラダラと垂らしながら
ゆきなは雷ちゃんの話しなど耳に入らず
ずっと良の言葉を気にかけていた。
(でも、あの子なら
やりかねん…っ)

その人物かと思えば思うほどあたしは頭を抱え、
顔を真っ青にさせるばかりだった。

「んじゃあ入ってー…」

「え…?」

雷がドアを開ける。

「―…」

ザワッ

教室に入って来た人物を見た瞬間、
教室の生徒はざわめき出した。

「あの子って…」

亜美が雑誌を落とす

「は…?」

かすみは食べていたチュッパチャプスを落とし

「あー!」

良は立ち上がりながら声を上げた

「…」

海はチラッとゆきなの方へ視線を向けた。

「東京から越して来ました
星安 ゆきですっ
モデルをやってます
よろしくお願いしまーす」

「や、やっぱり…」

ニコニコと話すのはゆきなと瓜二つの顔をした星安ゆき。
登場した人物に納得せざるおえないあたし。

教室中のみんながあたしとゆきを交互に見た。

「あたしとゆきは双子で…ゆきが妹、あたしが姉、なんです…」

誰とも視線を合わさずにゆきなはダラダラと汗を流すだけだった。
そんなゆきなの声を聞いた黒板の近くにいたゆきは…。

「ゆきなちゃーんっ!
久しぶりだねーVv
ゆき、スッゴく会いたかったんだからー!」
「うわぁ!?」


なんの躊躇いなく抱きついてくるゆきにゆきなは椅子ごと倒れた。

「い、いきなり抱きつくなぁっ(怒)」
「だってー」

そんな双子を目の当たりにした生徒達は
ゆきが雷ちゃんに注意されるまできょとんとしているだけだった。



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