君と出逢ってまた恋をした

□『知りたいこと』
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季節は梅雨

湿気に雨に
いいことなんてない時期に等しい。

あたしは海と行った
トロピカルランドでのことがずっと頭から
離れなかった。

『俺はゆきなが好きなんだよっ』

海の言葉が頭から離れず
ずっと考えていた。

「…ぁー…?」

海があたしを好き?
んなアホな…

それに
いつからあたしが好きなんだ?

「…き…ー!」

ていうか
あたしのどこがいい訳?

やつはあたしが
鈍感で放っておけないって言ってたけど…。

でも

「ゆきなー!」
「へ…?」

ハッ

名前を呼ばれてあたしはハッと気がついた。

「ご、ごめん…
ボーっとしてた;」
「なぁなぁ
あの指令台の近くにいる男の人、
めっちゃカッコよくない?」

名前を呼ぶからなにかと思ったら
確かに金髪の若い新任教師がいた。
背が小さいってのもあって
顔までは見えなかった。

「亜美…あんた雷ちゃんは;」
「それはそれ、
これはこれやで♪」
「;」

呆れながらもあたしは
自分が今、朝会であることを忘れていた。

(ちょうど海が仕事でいなくて良かった)

あの日以来タイミングがいいというのか
海は連ドラの仕事が入っていて
学校で会う回数が減っていた。
あたしとしては
安心は安心だった。

(意識しなくて済むし…)

「おい、亜美…
あの新任教師を
よく見やがれ」
「へ…?」

かすみは嫌そうな顔で
指令台にあがる
新任教師を見つめる
あたしも気になって
指令台を見つめた。

「あっ!」
「う?」

亜美の叫び声に
あたしはキョトンとするが
何せ背が低い為
亜美が叫ぶ意味がわからなかった。

「代表として台に上がらせていただきました」
「え…?」

あたしは
その声を聞いた瞬間、
視力がはっきりしたかのように
指令台に立つ人物の顔がわかった。

「生徒会顧問兼、
英語の担当を勤めさせていただく
麻見 海斗です
これから皆さんと仲良くやっていきたいと思いますのでよろしく」
「か、海斗兄ぃ!?」

急な展開であたしは
声を上げた。

「なんやゆきなも知ってたんか」
「そりゃあ従兄弟だしな…」

混乱状態の中、
朝会は気がついたら
終わっている形になったのだった。








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