君と出逢ってまた恋をした

□『真実』
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結局、アルバムは
亜美のほとぼりが冷めるまで
海の手によって
没収となった。

「あのすけこまし
ほんまに腹立つ男やで(怒)」
「すけこましって…;」

亜美の怒りが納まるはずはなく
海の暴言を吐きまくる。

そして

「小学校ん時はあたしより背ぇ小さかったんに
久しぶりに再会したら
おっきなってびっくりや…」
「へぇー…
海って小学生の時は
亜美より小さかったんだ…」
「で…中学でガッツーンと伸びたって訳か…」

小学生の時の海を話し出す亜美に
ゆきなは驚くことばかりで感心していた。
かすみにいたっては全て知っているかのようだった。

ハタッ

(そーいえば
海とかすみって他中だよね…?
じゃあなんでかすみは海のこと知ってるの?)

気になったのであたしは
かすみに聞いた。

「ねぇ…かすみと海って他中なのに
どこで知り合ったの?」
「…え?」
「いや…だからどこで
「近所のコンビニだよコンビニっ!;」

ダラダラと汗を流しながら
いつもより早足でかすみは教室へと歩いて行った。

「な、なんか変なこと言った…?」
「なんやろな…;」

亜美に同意を求めたが
亜美にもかすみがはぐらかした理由がわからないようだった


(きっと最悪な出会い方したんだろーな…)

相手は海だし、と思いながらあたしと亜美は移動教室の部屋へと向かって行ったのだった。












昼も食べ終え、
午後からの授業を開始するが
生徒会顧問である
海斗兄が次のイベントを発表した。

「ハッハッハッ
ダルダルさと、ベタベタさの狭間で
ボクの話しを聞けるとはなんたる幸福な者達であろうっ
ボクが神なら君達は
配下、いや、家来と言った所だろうか?」
「さらに悪くなってんじゃねぇかっ(怒)
なんでもいいから
要点を述べやがれっ!!」

海斗兄の会話に我慢が出来なくなった海は
みんながつっこめない所を
はっきりとツッコミ、
キレかかっていた。

「うむ…では
男女ペアになってくれまたえ」
「「「は…?」」」

クラスの全員がいきなりの海斗の言葉に
意味がわからないという声を漏らした。

「要点を言えと言ったではないかっ」
「話しの内容をはしょり過ぎて
会話が全く通じてねぇんだよっ!」
「なんだいなんだい
だったらもっと初めっから言いたまえっ!」
「(怒)」
「落ち着け、バカ貝」

海斗のワガママに海は殴りかかろうとするが
かすみの消しゴムを頭に投げられた。


「次に行うイベントは
まさに夏をテーマにしたものだ…
夏と言えば『海』、
それに『恋愛』が交われば『カップル』が誕生する…
つまりだ、
海という海を味わいながら
男女ペアでボクの出す指令に従ってもらうというイベントっ!
名付けて、『ひと夏ではじけてラブに進展なのだよっ』を開催するっ」
「開催すんなぁああぁっ!(怒)」

海斗のイベント企画に断固反対を出す海。
理由は訳がわからないと
海斗が出す指令にまともなのなんて無いと知っているからだった。

「ちなみに男女ペアは面倒なので
ボクがきっちり、みっちりと組み合わせてもらったよ」
「さっき、組めって言うてたやんか;」

めちゃくちゃな会話に亜美は頭を抱えた。

「まぁ、ちなみに発表は来週のイベント当日なのだがねっ!
まぁ、運命の導きというものを
心して感じ、期待していたまえっ!」

ハッハッハッと大きく笑いながら
海斗は教室を去って言った。

「海斗兄…
あんたの授業なんですけど…;」
「どアホだな…あの野郎(怒)」


自分の担当授業だということも忘れ
海斗は言いたい事を言って
教室を去っていったが
海に引き止められ
授業は再会した。

午後の授業も終わり
裏庭掃除をかすみ、亜美、あたしでしていると
来週のイベントの話しになった。

「知らん男やったら
あたしつまらんでー!!」
「その前に海ってどーだよ…;」

「水着、買わなくちゃダメなのかな;」

亜美、かすみ、ゆきなは
それぞれが思った事を一斉に漏らした。

「好きな人がおる男女にとったら
このイベントは最悪やで?」
「確かになー…」
「ハハハ…いない人でも男嫌いなあたしとかどーすればいいんだよ;」

サラッと流してほしかった。
そんな重く言ったつもりはなかった。

だけど

「そういや、
ゆきなはなんで男嫌いなん?」
「え…?」

最初に口を開いたのは亜美だった。

「ゆきなって
海達以外の男子と話したりせぇへんやん?
なんか避けてるっていうか…」
「露骨に男子を嫌ってるってのはあるかもな…」
「そ、それは…」

ドクンッ

胸の奥底で眠っていた
忌まわしい記憶が
あたしの中へと蘇らせていた。

「過去になんかあったんか?」
「!」

亜美は軽く言ったつもりなんだと思った。
だがしかしあたしの中にある記憶を完全に呼び覚ますにはたやすかった。

『初めから騙す気でいたんだよ…俺は』
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