君と出逢ってまた恋をした

□『大ッキライ』
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『騙されてやがんの』

そう言った男子は
金髪に碧眼で
セミロングくらいの髪型で
見るからに不良っぽい少年だった。


あたしの全てを奪っていった奴。

許せなかった。

会いたくなかった。


それがまさか

海だったなんて

「ゆきな…お前…」

海はゆきなに
ゆっくりと近づく。

「近づかないでっ!」
「!」

悲鳴に近いその声に海は足を止めた。

「…っ…」

怒り…?

違う…

この気持ちはなに…?

鼓動が早鐘をうってるみたいに
なんとも言えない感情が溢れ出す。

「…あたしをバカにしてた訳…?」
「違う…俺は…
「じゃあなんでずっと黙ってた訳!?」

言ってくれたら
喜びの感情も
一緒にいて楽しいと思う感情も
全部全部、憎しみで染まったのに

「言う必要がねぇと思ったからだ…」
「!?」

“言う必要がねぇ”ってどういうことよ…

「…どーして…?
あたしが何かしたの?
この学校に来たのも偶然って訳?
それでまたあたしに近づいて…」

しかもそれが
再び男を信じてみようとした奴が
男なんか信じれなくさせた人物で…。

「今度はあたしを
どーしたいんだよ…っ」

涙が混じる
ゆきなの瞳は海を睨んだままで、
感情をどこにぶつけていいのかわからなかった。

「悪かった、なんて言って許されるとも
思ってはいない…

だけどお前を好きな気持ちはあの頃も今も変わらないっ!」
「ウソだっ!
ウソだウソだウソだっ!」

ゆきなは耳を塞いだ

なにも聞きたくない

あの頃の気持ちがウソじゃないのなら
どーしてあんな事を言う必要があるんだ…?

「あんたの言葉なんて信じないっ!
あんたなんて嫌いよ…っ
大っきらいっ!」
「!!」


ズキッ

教室中に響き渡るくらいの声で
ゆきなは海に放つ。
そしてゆきなは英語の課題を残したまま
教室から去って行った。

「…当然…だよな…」

辛そうな顔で海は前髪をくしゃっと握った。












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