君と出逢ってまた恋をした

□『大ッキライ』
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あたしと良は学校から離れた公園にいた。

「海がそんなこと言ったのかよっ!」
「昔…ね…」

ゆきなはポツリ、ポツリと
小学生の時のことを
話し始めた。











あたしが海と出会ったのは小6の頃だった。
それは夏休みの初め、
学校のプール学習に出て行った時に
海と出会った。



「う〜…
また焼けたぁー」

日焼け止めを塗ってもすぐに落ちてしまう為
ゆきなは日焼け止めを塗らなかったのだった。

「俺は良いと思うけど?
小麦肌の女の子って」
「!」

突然、上から聞こえた声にゆきなは振り返る。

「…うわぁっ」

すごい綺麗な金髪…

透き通るくらいの
碧い瞳だ…

外人さん…?

そう不思議に思い
あたしはしばらく目が逸らせなかった。

「ねぇ、俺とつき合わない?」
「え…?
あんた、男なの!?」
「おいっ(怒)」

にこっと女の子みたいな表情で笑うので
あたしは目の前にいる少年にそう言ってしまっただが

「悪いけど
あたしは初対面で告白してくる男は無理っ
だいたいあんた、あたしのどこがいいんだ(怒)」

女の子だったら楽しかったが
男だったら別だった。

「じゃあ好きになってもらう為に
頑張ろうかなー」
「頑張る…?」

その少年の言葉にあたしは見つめる。

「次もここで待ってるからっ」

そう言って海は去っていった。

それから本当にしつこいくらい海は石壁の上にいた。
でも、時々話す海にあたしは少しずつ
男子と会話する楽しさを知った。

でも、それは一瞬で消えた。
ある日の市民プール帰りの時、
タイミングが悪かったのか、あたしは海と話している時に事件は起こった。

「あっ、ゆきなじゃん!」
「悠…?
うわぁっ!悠じゃんっ!
久しぶりっ!」

あたしに声をかけて来たのは幼なじみの悠で
小4の時に引っ越しして行った男子だった。
久しぶりの再会にあたしは海を放置していた。

少しした会話の後
悠は用事があるからと言って
去っていった。

(あっ、あたしあいつのこと放りっぱなしだった…)

急いで海に謝ろうとゆきなは振り返る。

「ご、ごめん
話しこんじゃっ
「なーんだ…
あんたモテなさそうだから俺が
一時の幸せを味わえる
彼女にしようかと思ったけど
必要なさそうじゃん」
「…なに言ってんの?」

今までの明るい雰囲気となにか違うと感じたゆきなは海をじっと見上げる。

「あんたなんか好きに
なるわけねぇじゃん
俺は初めっからあんたを騙す気でいたんだよ」
「…なんで…そんなことっ」

無邪気な笑顔は仮面のように一瞬で嫌な笑みへと変わり
見下すような態度になった。

(ウソだよね…
だって、今まで
あんなに楽しく話してたのに…っ)

「楽しそうだと思ったから」
「!」

人を騙すのが楽しい…?

「憎いだろ?泣いちゃってもいいんだぜ?ゆきなちゃん」
「…っ」

キッ

「!」
「誰が泣くかっ!」

頭おかしいんじゃないかっ!?

ゆきなは服の裾をギュッと皺がつくほど握った。

狂ってる…っ

人の気持ち踏みにじって
バカにして

せっかく男を信じてみようと思ったのに

最悪の裏切り行為だ

「あんたみたいな最低な奴、
誰も好きになんてなるわけないじゃんっ!
あんたなんか
大ッキライッ!」
「!」

そう言い放ってゆきなは海の前から去った。


それ以来海はゆきなの前に現れず、
ゆきなもそこには近づかなかった。

それが海との最悪な出会い。
二度と会いたくないと思ってた。
なのに神さまってのは
ひどいわよね…。
こんな再会で
あんな終わりだなんて…









「そんなことがあって…
あたしは男を
信じられなくなったし
大ッキライになった

あたしに近づいたのだって
きっとまたバカにして
ズタボロにするに決まってたんだっ
だから
あたしに近づいたんだっ」

涙をボロボロとこぼしながら
ゆきなは泣き続ける

これ以上何を奪うと言うのか。
これ以上何で傷つけされば満足なのか…。
海の心が全く読めなかった。

「海ってさ
昔は人に心を開くのって
すっげぇ拒んでたんだ
中学でアイツと会った時も
転校生としても
姿形にしても目立つ奴で
でも、人を寄せ付けることを
一番嫌ってた」
「海が…?」

意外だった。
毎日笑顔の海が
そんな風な中学を送っていたのが

「海って不器用なクセに
バカ正直で弱い奴なんだよなー」

ハハハ、と良は笑いながら話す。

「そっか…海が言ってた女の子って
ゆきなのことだったんだ…」
「え…?」

良の言葉にゆきなは不思議がっていた。












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