君と出逢ってまた恋をした

□『うみ』
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更衣室

「あっかーんっっ!」

「な、なによ…;」

ゆきなは水着に着替えようとするが
亜美に没収された。

「なんなんなんなんなんなん─────!?」
「うっせぇぞ」

シャッ

「!
うわぁ…っ」

亜美の叫び声に耳を痛め
個室から出てきたかすみ。
そのスレンダーかつビューティフルなスタイルに亜美の時と同様にゆきなは
惚れ惚れとしていた。

かすみの水着は
金髪に生えるように
ゼブラ柄のビキニで
美人なかすみにピッタリだった。

亜美の水着は
白のドットが入った赤のビキニで
下はスカートみたいになっていた。
天真爛漫の亜美にはピッタリだった。

なのに
そんな亜美はあたしに
説教をする。

「あんなぁ(怒)
学校の水着に規定は
無いねんでっ!?
せやのに
なんであんた、1人だけ
スクール水着なんて
真面目に持って来てんねんっ!」
「だって着れるし
新しい水着買うお金も無いし、
第一、買ったって着ないし」
「それはダメだっ!
ゆきなっ!」
「!」

かすみがガシッとゆきなの肩を勢いよく掴む。

「確かにロリ顔で中学卒業ホヤホヤのゆきなには
まだスクール水着が
似合うかも知れねえ…

でもっ
1人スクール水着で
のほほんと過ごすゆきなを見るのは
コンビニでじいさん、ばあさんが
コンビニ弁当買っちまうくらいの
やるせなさつーか、
切なさつーか…

だからこそあたしは

そんなゆきなに
いたたまれないことをさせたくねぇえんだよぉおっ!」
「あー…
なんかごめん…」
「ヤンキーやから
情に弱いねんなぁー」

熱く語り出すかすみにゆきなは心こもらない謝りをする。
そんなかすみの語りに亜美はうんうんと頷いていた。

「やっぱりゆきが
言うたとーりやなぁ」
「へ…?」
「そーだな…
ゆきの言ったとーりだ」

亜美とかすみは
互いに顔を合わせる。

「「今すぐこの水着に着替えてらっしゃいっ!」」
「え、え…?」

急に出て来た水着に
あたしは挙動不審になる。
そんなあたしの言葉など聞かずに亜美とかすみはあたしを
個室へと詰め込んだ。
スクール水着を没収されたあたしにとって
それを着るしか選択権がなかったのだった。











数分後










「無理…っ
無理無理無理無理無理ー!///」
「何でやねんっ
めっちゃかわええで?」

着替えて全身鏡で自分の姿を見たが
あまりの恥ずかしさにあたしはパーカーを羽織ってしまった。

「あたしらが可愛いって言うんだから
間違いない」
「いやいやいやー!!」

断固としてゆきなは
首を横に振る。

(さ、最近の水着って
どーしてこんな感じのばっかりなのっ!?
恥ずかしいよー///)

心の中で自分の水着姿に葛藤中だった。

「可愛いし、髪とかメイクとかやったんなー♪」
「えぇっ!?
い、いいってばー!!」

結局、あたしは亜美とかすみに良いように
髪型からメイク等までやってもらったのだった。














「んー!
久しぶりの海って
案外気持ちいいなー!」
「そーだなぁっ
早く泳ぎてぇぜっ!」

久しぶりの海にハシャぎだすのは
違和感のない
かすみ&良のペアだった。

「なぁ雷ちゃんっVv
こんなペアなんて
一生あらへんから
楽しまなあかんなー!」
「なんで俺まで…;」

一方通行の亜美の思いとは裏腹に
雷ちゃんは自分が参加することになるなんて思っていなかったらしく
だけど亜美がいつも引っ付いている為か
ここも違和感のない
亜美&雷ちゃんペア。

そして…。

「こんっなに
あっちぃのに
なんでパーカー着てんだ?」
「ひ、日焼け止めを忘れたのよっ!」

(こんな水着姿見せられるかっ!)

あたしはパーカーの下の水着姿を海に見せたくなくて
変な言い訳をしてしまった。

「とか言って本当は
水着姿が恥ずかしくて
脱げねーだけじゃねぇの?」
「な…っ!?」

ニヤニヤと海は意地悪く笑うが
海の言う通りであたしは焦った。

「一番最初は俺に見せてくれよ?
ゆきな」
「!」

ドキンッ

「…い、いやっ」

ぷいっと顔を背け
ゆきなは海の向けた柔らかい笑顔に
胸を高鳴らせた。

(なによ…っあの態度(怒)
絶対に奴になんか
最初に見せてやるかっ)

ドキドキと心音を立てながら
ゆきなは海を睨みつけていた。

(変なの…
海ごときにドキドキするなんて…)

そんなことを考えているとアナウンスがなった。

「諸君、水着に着替えて
テンションが上がる最中だと思うが
10時をまわり1回目の指令を出すっ!
1回目の指令は
『手を繋ぐ』と言うのが指令だっ!
恥ずかしさを無くすには
まずこれからだからねっ!
今から1時間半後までに
手を繋げないものは
ボクかの甘い甘い
お仕置きが待っているからねっ!
では良きに働きたまえー」

そう言って
海斗兄は
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