君と出逢ってまた恋をした

□『全く変わってないじゃないかっ!』
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『あんたって人は
また女と飲んでたんだねっ!?』

『いいじゃないですか
どーせ
小夏は相手にしてくれませんしね』

小さい頃、
父さんがいつも小さい頃、
夜遅くなると
いつも母さんと父さんはケンカばっかりしてた。

その時は
その意味がわからなかった。
けど
今ならわかる気がするんだ。










前回、海斗兄に
『Rainbow』のLIVEのチケットをもらった。
今日はそのLIVEへ行く日だった。

(海のやついるよね…)

あたしは
海を家まで迎えに行った。

ピーンポーンッ

「はいはーいっ」

海の家のインターホンを押すと
中からは聞き慣れた
女性の声が聞こえた

ガチャ

「ゆきなちゃんっ!」
「姫ちゃんっ」

ドアを勢いよく開けて出てきたのは
39歳にして3児の母である
麻見 姫里ちゃんで海のお母さん。
あたしの母さんの大親友なんだ

「今日、海とデートなんだってー!?
もうあたし聞いてビックリしちゃったわよっ」
「ち、違うよっ
デートじゃなくて
ただLIVEに行くだけで…
「あら、そうなの?
残念だわ…」

喜怒哀楽の激しい姫ちゃんは
ころころと変わる表情が年齢を感じさせず
若々しかった。

「海はいる…?」

そう姫ちゃんに尋ねると

「ええ、いるわよ
ちょっと待っててね」

家の中に入って海を
呼びに行く姫ちゃん。

(姫ちゃん
全然変わってないなー)

そうしみじみと思いながら
数分、外で待っていた。

「わりぃっ
ゆきな、待たせたな;」
「!」

ドキンッ

慌てて家から出て来た海の私服姿に
ゆきなは胸を高鳴らせた。

パーカーのついた
赤のノースリーブに
迷彩柄のズボン
変装用のメガネと
帽子に
いつもと違って
少し長い髪を後ろで
縛っていた。

(さ、さすがモデルやってるだけある…
ちゃんと決まってて
なんか…かっこいい…)

「!」

ハッ

(か、かっこいいってなんだっ!///)

いらない思考を振り払って
あたしは改めて海の方を向く。

「き、今日はよろしく…」
「ああ、こっちこそ
よろしくな?」
「…っ///」

カァアァッ

ニッと笑う海に
ゆきなは顔を赤く染めた。

なんか…

最近変だよ…っ

海といると
すぐりんご病になっちゃうんだもん…











電車で1時間半くらい移動して
あたしはRainbowのLIVEが行われる
コンサート会場へと到着した。

「まだコンサートまで時間あるな…」
時計を見るとLIVEまでは2時間ほどあった。
グッズも買ってしまってあたしと海は会場で
並んでいたんだけど
なんせ人、人、人っていう感じで
さすが毎年500万人ほどの観客を入れてLIVEしているだけある。
ファンのみんなは
気合いが入っていた。

「お前って陸実さんには
どれくらい会ってねぇの?」
「ん〜…2、3年?」

さらりと海の質問に答えるゆきな。

「寂しい、とか思わねえの?」
「アハハっ
それが思わないんだよねー」
「え…?;」

至って明るく会話するゆきなに
海は内心驚いた

「…だって…父さんは
あたしが追い出したようなもんだから…」
「…ゆきなが…?」
「そう…あたしの父さんって
見た目どーりにチャラいじゃない?
どうして母さんが父さんみたいなちゃらんぽらんと結婚したのか
わからないくらいにっ!」
(すごい言われようだ…)

海も陸実という人物を知っているが
そこまでか、という感じでゆきなの
話しを聞く。


「キレイで
可愛くて
美人な女性は必ずと言っていいほど
父さんは平然と平気で
ナンパを繰り返し
さらに母さんとつき合う前は
来るもの拒まず去るもの追わずの
最低男、おまけに
母さんと結婚しても
女たらしの性格は直らず…
女の人を1人に絞ることが出来ないのに
どうして母さんと結婚したのか
あたしには父さんが理解出来なかった…」

小さい頃はわからなかったけど
母さんはいつも1人で泣いていた。

あれは父さんを想って泣いていたんだって…。

「理解出来るようになったら
なんだか無性に腹が立って来てね…
ガツンと言ってやろうと思った時には
もう遅くてさ…」

母さんは中1の時に
ゆきと一緒に
家を出て行った。

離婚届と一枚のメモを残して…。

『疲れた
ゆきなを任せます
小夏』

ちょうどあの事件が
きっかけだった気がしたように思えて
あたしは父さんのせいにしてしまった

『パパのせいよっ!
パパが…っパパが…
浮気ばっかりするから…っ
連れ戻すまでは帰ってくんなー!!』

父さんの荷物をポイポイと
玄関から放り出した。

手紙や電話では話すけど
母さんのことに触れない父さんにまたか、と
思いつつも連絡出来るだけで嬉しかった。

「…やっぱりちょっと後悔してるかな…
あたしのせいでもあるわけだしね…っ」

そうゆきなは苦笑いで
海に笑いかけた。

「…」

無理に笑うゆきなの笑顔に
海は少し胸が
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