君と出逢ってまた恋をした

□『全く変わってないじゃないかっ!』
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並んでいた2時間は
思っていたよりも
あっという間で
あたしと海は
会場に入りそれなりの場所を
見つけてLIVEを待ち焦がれていた。

「…っ…」

ドキドキ…

1人のファンとしてみるだけなのに
なぜかあたしは緊張にかられた。


(なんであたし…
こんなにドキドキしてんだろう…)

逃げ出したくなるような
気持ちに
あたしは俯いてしまっていた。

「ゆきな」
「へ…?
な、なに…?」

急に名前を呼ばれて
あたしは海の方へと
振り向いた

「楽しむんだろ?
そんな顔してたら
呑み込まれるぜ?」
「え…?」

♪☆♪☆♪☆♪☆♪


いきなり大きな音が
会場内全体に響いた。

前を振り向けば
そこには
Rainbowのメンバーがいた。

《今日のために
たくさんのものや
たくさんの感情を
犠牲にして

ボクは地の底に堕ちたよ

でも
そんなボクを
君が救い出してくれたんだ

それはまだ先のことだけど

君がいるその全てが
自分にとっての勇気になった
今ここに誓うよ
もう迷わないと》


「キャアアアアッVv」

一番の歌詞を歌い終わったあと
真ん中の奈落部分からリヒトが出て来た

「わぁ…っ」

久しぶりに見た父を見たゆきなは
やっぱりまだ子供で
嬉しいことに変わりなく
自然と表情が
緩んでしまっていた。

「…そうそう…
それでいいんだよ」

ゆきなの笑顔を見て
海は微笑んだ。

そして2人は
始まったLIVEを
堪能しはじめたのだった。


2、3曲歌を歌い終えて
リヒトは声を出した。

「こんにちはー
Rainbow、ボーカルの
リヒトですっ!」

リヒトの声を聞いた観客は
歓声を上げていた。

「今日はプレミアLIVEに来てくれてありがとーっ
みんなが幸せで最高になれる曲と
思い出を両方ともに上げられるように
最上級のLIVEにするからねー!」

そう叫んだと共に
周りもリヒトの声に反応して盛り上がっていた。

「せっかくの
Rainbowっていう
グループの名前なんで
『色』をテーマに
歌っていこうかなって
思うんだけど
いいかなー?」

まるでどっかの某テレビ番組のように
観客に語りかける。
観客も観客で某テレビ番組の観客並みな反応だった。


「んじゃあまずは
この歌からいこうかなっ
イメージカラーは黄色
『ハピネス』」
「ハピネス…」
「ん?」

曲のタイトルを聞いた瞬間、タイトル名を呟いた
その呟きに海は反応してゆきなを見た。

会場中が黄色の照明、バルーン、黄色の花が舞い落ちる。

【2人の間に小さな奇跡が
ボクらの腕に舞い降りた

つい笑顔になってしまうほど
君はボクの中で微笑むから
愛しさが止まらなくなった

似てるようで似てない
君はボクの愛してる人にそっくりだね、なんて
心で呟いて
今日もまた1日が始まるよ


似てるようで似てない
君はボクの愛してる人にそっくりだね
一途な想いがボクには羨ましく見えるくらいにね】

「この歌って…」

海はゆきなの方を見た。

「本当…バカだね…
パパってば…」

目尻に涙を溜めながらゆきなは幸せそうに微笑んでいた。

「どこにいたってお前らのこと考えてんだよ…」

ゆきなの頭を海は撫でた。

「そうだったらいいな…」

LIVEで歌うリヒトの姿を見つめ
ゆきなはそう呟いたのだった。


どうしようもない父親だけど
だけどあたしにとってはやっぱり父さんじゃなくちゃダメなんだ







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