君と出逢ってまた恋をした

□『お泊まり大会(中編)』
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1日目で悩んでたことも海の言葉でちょっとすっきり…。

そんなすっきりした
気分であたしと海は
居間にいるかすみ達の元へと戻った。











そう本当のお泊まり大会はここからが本番っ!

大人もいないし
明日は学校もお休み!

となれば
やることはたくさんっ!

成長期真っ盛りのあたし達はそれと同時に
好奇心もたっぷりだった。












「んじゃっ











かんぱぁあぁああぁいっ!!
「「「「かんぱぁあぁああぁいっ!!」」」」



机の上にギッシリとのった缶の山におつまみやお菓子の多さ。
ちなみにお酒にいたってはまだ冷蔵庫にあるというのだからテンションが益々上がる一行。

そして

「せやせやー
あたしな今日はいっぱい写真持って来たねんでー」
「写真?」

カバンの中からガサゴソと取り出すのは大量のアルバムだった。

「お前って案外体力尋常じゃねぇよな」
「尋常じゃねぇのに案外ってのもどうかと思うがな…」

かすみの言葉に海は訂正をするが
それが気にいらないかすみは海を思いっきり睨んでいた。

「ほら、前は海の悪ガキ写真
見せれへんかったやろ?
幼なじみのあたしは
家が隣りだったからこいつの弱点知り尽くしとったからええねんけど
周りの人間はそうは思わんから
海にビクビクだったんよ」
「そ、そうなの?」
「まぁ、そんだけ金髪で碧眼なら悪ガキに十分見えんだろーな」
「てめぇが言うな(怒)」

ニコニコ話す亜美だが
内容はそれなりのものだった。
さっきのお返しと言わないばかりにかすみは海に言い返した。

「そういえば…
かすみと海って
高校に入るより前に出会ってるんだろう?
どんな出会い方だったんだ?」
「「…っ(怒)」」


2人はにらみ合ったままこちらの話しに気づかなかった

「2人の出会いは意外な所だったんだよねー」

良が急に話し始める。

「そっか
良は海と一緒の学校だもんねっ」
「ああ
あの時の出会いは
今思い出しても
思い出深いよなー」




良は昔のことを
笑顔で語り出した。











今から約3年前
それは
とある動物園で起こった。





「たく…っ
んで中1になってまで
動物園で遠足なんてふざけてんな」
「そのわりには
お前動物の餌とか
パンフレットとか
不良なのにちゃんと
出席しちゃってる辺りで
お前の言葉は無いものとなってるからな」

9月の始めに俺らの中学校は遠足に来ていた。
ちょっと遠出の、だ…。

普通の不良ならサボるのに海はハニーゴールドの髪にグリーンの瞳をして学ランなんて着崩してるのが当たり前で
手のつけようがねぇ不良なのに
なぜかこういう行事には参加する。
身長は俺と同じぐらいで小さい方で顔はどちらかと言えば可愛い方らしい
なのに誰よりも恐れられていた。

不良と言えば団体で連むのに
海は一匹狼派の不良だった。
だから余計に恐れられていたんだと思うけど…。

そんな不良が動物園に来たことに文句言いながら
ちゃっかり参加してるのときちんとパンフレットを持ってることが俺には不思議過ぎた。

「おっ!観ろ良っ
ライオンだぜ!」
「狼がライオンにはしゃぐのか?」

どうやら考えごとをしていたらいつの間にか
猛獣の館に着いていたみたいだった。

なぜか異様にライオンに反応する海に
本当に不良かとさえ思った。

ライオンの柵に近づく海と俺。

「起きてるライオン初めてみたなー」
「俺もだっ」

キラキラと目を光らせて見る海の姿はまさに子供だ。
とても不良だなんて感じれない。
「「やっぱりいいよなっ!
ライオン・トラって!」」
「?」

海と同じタイミングでハモった女の子の声に俺はん?、と不思議に思った。

「「あぁ?」」

いかにもガラの悪い声が再び重なるのと同時に海は右隣を振り向いた。

「!」

見ると隣りには
金髪でまだ幼さのあるショートヘアのかすみがいた。

「てめぇなに言ってんだ…
ライオンのがかっけぇに決まってんだろーが」
「てめぇこそなに言ってんだ…
トラのがかっけぇに決まってんだろーが」

2人はすごい目で互いをにらみ合っていた。
誰も近づけない雰囲気があった。











「なにがすごいってさー
2人ともライオンとトラでずっとケンカしてんのっ
初対面なのにすごいよなーって感心しちまってさー」
「「いや…なんかズレてるズレてる」」

明るく話す良にあたしと亜美は論点の違いに気がつく。

「ていうか…
かすみ、海とはコンビニで会ったって」
「そら動物園で
ライオンとトラの対決してた出会い話なんて
恥ずかしゅうて言えへんやろな」

ハハハ…と呆れながら亜美は未だにケンカ中の海とかすみの様子を見ていた。

「でも中学校違ったわけでしょ?
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