君と出逢ってまた恋をした

□『お泊まり大会(後編)』
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ピピピ…

「ん…っ」

携帯のアラーム音によってあたしは目を覚ました。

(でも…まだ寝たいなー…)

お酒を飲んでいたこともあってまだ眠りが浅い気がした。

(あったかい…)

まだ意識は夢の中なのかあたしは与えられてる温かさに再び睡魔が襲いかかった。

(なんであったかいんだろ…
夏、なのに…気に…ならないなんて…)

虚ろになりながら思考を回すがお酒の残りがまだ残っているのか
あたしは二度目の睡眠についたのだった。











ピピピ…

「ん…」

再び携帯のアラームがゆきなの部屋になり響く。
だが起きたのはゆきなでもなく、
ゆきなの携帯のアラームでもなかった。


「あ〜…もうこんな時間かよ…」

そうゆきなでなく
ゆきなのベッドで一緒に眠っただった。

携帯の時間を見れば10時を過ぎた頃だった。

(今日、仕事入ってたな…モデルの方だっけ…)

だからアラーム一応かけといたんだけど、と心の中で思いながら
海は動けずにいた。

それもそのはず海の腕の中には二度寝に突入しているゆきながすやすやと眠っていたのだから。

(暗がりでわかんなかったけど…
こう見ると本当に
子供みてぇな寝顔だな…)

ソッと頬を撫でる

「んにゅ〜…」
「!」

今度は猫みたいな鳴き声と表情に俺は胸を鷲掴みにされたように
胸が高鳴り苦しくなった。

(つーかよ…好きでもねぇ男にこんなに軽く反応しちゃっていいのかよ…;)

「自惚れちまうだろーが…」

コツンと、自分の額とゆきなの額をくっつける。

そんな心境に俺が追い詰められてるなんてゆきなは知らずにただただ夢の中だ。


(このままずっとこーしてられたらいいんだけどな…)

両思いにならなければ決して叶いそうにない願いに俺は呆けていた。

「ゆーきなっ!
飯出来たぞ…」
「!」

いきなりのかすみの登場に俺は慌て起きた。

「あ、あ、いや…っ
これには…いろーんな事情がありまして…」
「なんだ?とうとうゆきなに手ぇだしたってか?」
「ちげぇっ!(怒)」

人の話を聞く表情ではなく
人をからかう気満々の顔でかすみは俺を見る。

「お前が酔っとった数時間にゆきなも酔いに酔って寝かせようとしたら
こんなはめになったんじゃっ」
「ふ〜ん…
まぁ、そのわりにはゆきなはお前にベッタリだなぁ」
「な…っ!?///」

起き上がってもゆきなは体温を求めるように
俺の腰周りに抱きついていたのだった。

(いやいや…ゆきなちゃん…
ほんまにそろそろ起きてぇや…;
男の朝はいろいろと大変なんやでっ!?)

そんなことを心の中で悶々とやっていた。

「なんでもええから早く起こした方がええんとちゃう?」

かすみの後ろからひょこっと身体を表して呆れた顔で海に言う。

「わ、わかってるっちゅーねんっ!
ほら、ゆきなっ
そろそろ起きぃやっ」
「んぅ〜…
わかってるー」

そう口では言いながらも俺の腰周りに回された腕に込められた力は強くなった。

「ゆ、ゆきなちゃんっ!?
早よう起きようやっ、なっ!」

なんとか理性を保ちながら俺はゆきなの腕を腰から離す。

「あ〜…うー」

子供みたいな声を上げ、やや不機嫌な感じで
瞼を擦りながらゆきなは起き上がる

「ん…はよ…じゃいます…」

うつろうつろな瞳で眠たそうにゆきなはまだ意識は夢の中で
喋り方は幼児のままだった。

「あ、後は頼んだからなっ!
これでも俺は忙しいんだっ」

そうぶっきらぼうに海はゆきなの部屋から出て行き、下へ向かったのだった。

「普通なら襲ってまうんになー」
「まだまだだな」

海の夜這いをなぜか応援しようとする
亜美とかすみだったが
そんな2人の目の前で間違いを起こしたら一生の恥だという一つの思いと
海にも一応プライドがあってのことだった。

「…う?」

そんな思いなど一番感じることの出来ない
無頓着と言える
ゆきなはまだ覚醒はしていなかったが徐々に昨日の記憶が開花していくのだった。

「ぁ…」

自分から海に抱きつき
甘える記憶、

「あ…ぁ…」

一緒に寝ようと言う自分の言葉

「あ…あぁ…」

そして、寝る寸前に
自分から海の唇にキスしてしまった記憶

「あぁあァあぁァあぁアァあッッ!!」
「「!?」」

ゆきなが大声を上げたことにより
その場にいたかすみと亜美は驚いたのだった。


(どーしよ…
どーしよ…
どーしよぉおぉっ!
あ、あたし…すごいことやっちゃったよぉおぉっ////)

1人混乱するなか
かすみと亜美は錯乱するゆきなに首を傾げることしか出来なかったのだった。













一方、海はと言うと
下に降りて顔を洗い
リビングへと続く戸を開けた。

「おっはよー


って

なんっでそんなに
機嫌が悪いわけ…?」

リビングに入って来たことに気がついた良は
みんなが集まる
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