君と出逢ってまた恋をした

□『お泊まり大会(後編)』
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のを待っていた。

「別に機嫌がわりぃ訳じゃねぇよ」
「ふ〜ん…」

訝しげな顔をして海は良の隣りに座る。

「あっ…もしかして寝不足か?」
「ちげぇ…こともねぇけど」

頬杖をつきながら海は良の質問に答えた。

「あっ…わぁった
ゆきなの無防備さに苦労してんだっ」
「見たのか?お前は俺より先にゆきなと一緒に寝たのかっ!?」

あまりに見たかのように良は言うので
海は動揺しながらも良に迫る

「いんや?
そうじゃなくたって
ゆきなはいつも
無防備だし
後は勘」
「お前の勘に時々恐怖さへ感じるよ…俺は」

勘の良さに俺は呆れてしまった。

「で?一緒に寝ちゃった訳?」
「妙な言い方すんなっ!
第一、俺はそんなつもりはなかったぞ
た、ただ…ホールドされたからだな…
つか、お前こそ」
「俺は気がついたら2人で縁側で寝てた」
「;」

老夫婦か、と思ったが良とかすみは互いに天然だ。だから俺はあえてなにも言わずにいた。

「ふ〜…やっと人数揃ったぜー」
「飯や飯ー」
「あ…ぅ…お、おはよ…」

かすみ、亜美そして最後にゆきなという順番で入ってきた。
だがゆきなの様子がおかしかった。
おどおどとしたどこか落ち着きない感じで
リビングに入ってきた。

(もしかして二日酔いか…?)

そう思い、立ち上がって
ゆきなに近づく

「具合わりぃのか?」
「ふぇっ!?」

急におでこに触れられて、しかも至近距離なのでゆきなは変な声を上げてしまった。

「ち、ちが…っ…
熱なんてあ、ありませんっ///」

カァアァアッ

「?
にしては
顔真っ赤だぞ?」

海はゆきなの記憶がないと思っているため
ゆきなの言動や行動がおかしいのに気がついて
余計にゆきなを心配した。

(な、なんでこんなに心配すんのよっ!
…ていうか、
昨日のこと謝った方がいいのかな?)

海との近い距離に焦りながらも
ゆきなはチラッと海の方を見る。


「ん?大丈夫か?」
「!!///」

カァアァアッ

「だ、大丈夫です…っ」

(大丈夫じゃない…
大丈夫じゃないけどっ
そう言っておかないと危ないっ!)


「なんで敬語なんだ…?」
「き、気にしすぎっ!
早くご飯食べるよっ!」

顔が見れないゆきなは
海の横を通って
席に着いた。

(うぅ…っ
ヤバいヤバいよー!
このまま避けてたら
海にまた昨日みたいに不機嫌になるー

っていうか…
あたしなんであんなこと…)

席につきながら
ゆきなは必死に思考を回すがどう考えても
ゆきなは記憶があっても意識まではなかったようだった。


「;」

(ダメだ…考えたけど全然記憶が…;)

「ほな食うかー!」

自分の家なのに朝食を作ってもらったことに感謝する暇もなくゆきなは
ただただ昨日のことで悩みまくっていたのだった。

「い、いただきます…」

ぐるぐると回る思考に耐えながらゆきなはご飯を食べる。

「…」

(大丈夫かいな…あいつ…)

左向かいに座るゆきなに海はチラッと見たが
まったく海の視線にゆきなは気がついていなかった。

朝だからなのか、
昨日の記憶があるからなのか、
はたまた昨日の酒の影響で気分がまだ本調子じゃないのか
リビングで食べる和食はどこかシン、としていた。

「あ…せやせや
今日、海は仕事なんやろ?」

普段はあえて空気を読まずにずけずけと
人が気にしていることを突飛にいう亜美だが
ゆきなが混乱状態に陥っている為か
空気を変える為に亜美は海の仕事の話しを持ち出した。

「そうだけど…
なんだよ、急に」

亜美がそんなことを言うのは珍しいと思った海。

「せっかくテレビ局の関係者がおんねんから
見学せえへんのはマズいんちゃう
かなって思うて」
「なにが明るく『思うて』やっ
お前の考え、そのものこそがヤバいわ」
「黙れっ(怒)」

ボリボリとほっけを食べながら亜美にそう言う海だが
暴言により海は亜美に殴られたのだった。

「あーあ…
みんなマズいとは思ってたけど
あえて黙ってたのに」
「ほんっっっとに
ドアホだな」
「;」

海の発言に憐れむ良に
同様にかすみは呆れていた。
ゆきなはなにも言わずに見守るのみだった。

「第一、テレビ局は関係者意外立ち入り禁止だっつーの
お前らが通る訳がねぇだろうが」
「…」

気にくわない表情で亜美は海を見る。

「…なぁ、かすみ
あんた夏休みに入って
何回モデルにスカウトされた言うてたっけ?」
「あ?
13だけど」

めんどくさそうにかすみは亜美の質問に答える。

「良は?」
「ん〜…覚えてねぇや」
「15やっ!」

殊更モデルに興味がない良、自分で聞いたくせに亜美は良がスカウトされていた回数を覚えていた。

「あたしは親がメイクアップリストもやってるから名前出せば入れるねん…」
「おい、てめぇなに言ってるか理解してんのか?」
「当たり前やん」

自信満々に言う
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