君と出逢ってまた恋をした

□『キス』
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「かぁ〜いぃ〜くぅうぅんっVv」
「!?」

ビクッ



鼻につく高い声を耳に聞き入れた海。
その声を聞いた瞬間、海は振り向かなくてもわかるくらいその人物に驚いた。

そしてゆっくりとぎこちなく振り返る。

「な、菜々美…っ」

海の顔はひきつっていた。

「あぁ〜んっVv
今日も相変わらずかっこいいぃ〜っVv
今日も離さないっVv」
「はぁーなぁーせぇーっ(怒)」

菜々美という女子高生は暑い日差しを浴びながら
白昼堂々とプールのど真ん中で海に抱きついていた。

「おーお…
こんのクソ暑い日に
よくやってられんなー…」

パラソルの下で菜々美と海のやりとりを見て
かすみは感心していた。

「案外嬉しいとちゃうん?相手は学園のアイドルって評判の葛西 菜々美やからなー
あんなグラビア並みのスタイルさせてあたしらとタメやで?」

女に興味のない亜美はかすみ同様にパラソルの下で雑誌をみて
菜々美と海の様子に呆れを零していた。

「へぇ〜
んな子いたんだなー」

良に至ってはまるで興味なく、
菜々美の存在さえ知らないでいた。

「つかよ…
逆にあれよりあたしは
あっちのが
怖いんだけど…」
「せやな…
目ぇ合わせたら
あたしら死んでまうで」
「メデューサより最強じゃん」

かすみ、亜美、良の背中側には
フードパーカーを被ったままのゆきなが海と菜々美を睨みつけていた。

「別に…あたし睨んでとかないからっ(怒)」
「「「はいはい」」」
「聞いてよっ(怒)」

そう言うゆきなの態度がバレバレなことに3人はわかりやすいほど感じていたが、
否定することはせずにゆきなのことを認めた。
だがあまりに子供を宥めかすような態度に
ゆきなは相手にされてないと気がついた。

「…はぁ…」

(せっかく…プールに誘ってくれたから
あたしなりに頑張って水着選んだんだけどな…)

膝を抱えたまま、ゆきなは目の前で繰り広げられる海と菜々美の戯れに沈んでいた。

今回のプールは海が会社で無料チケットをもらったことがきっかけだった。
ハワイアン海水浴プールは出来たばかりの広いプールで
プールが終わった後は温泉に行って
ご飯を食べてカラオケでオールの予定だった。

しかも
ゆきなに至っては
自覚して初めての海と遊ぶ訳であり
水着や髪型、服装、
話しかけるタイミングさえあれば
いろいろと遊ぶつもりだったのだ。
だが
学園のアイドルと称されているほどの美女が
アイドルである海と並べばお似合いであり
自分なんかが適う相手ではないとゆきなは声をかけるチャンスを失ってしまった。

(意気地なし…

あんな可愛い子に適うはずないじゃん…)

膝を抱えながら
ちらっと2人を見る。

(…海も満更でも無さそうだし…

スタイルはいいし…

美女だし…

ていうか美男美女…;)

「…っ」

(恋って難しいな…)

嫌がる海だが菜々美はそれでも諦めずに海の腕にしがみついていた。

そんな姿がどこか楽しそうに見えたゆきなは
海と菜々美から目を逸らせ膝を抱えたまま
伏せってしまった。

「…あ〜…めっちゃ弱気やん…ゆきな;」
「だなぁ…
なんかいつの間にか
自覚してるしな…」
「なんかゆきなが居たたまれないぞ…」

亜美、かすみ、良がゆきなの姿を見て焦っていた。

「…ん〜…
こーなったら
海を痛めつけたったらええんとちゃうん?」
「どーやってだ…?」
「フフンッ♪」

亜美の作戦にかすみは聞いてみると
かすみは怪しげな笑みを浮かべた。











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