君と出逢ってまた恋をした

□『キス』
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アロハエリア


「なにすんだよ…ここで…」

亜美に引きズラれるかのようにゆきなとかすみ、良はアロハエリアにやってきた。

まわりはただただ普通の流れるタイプのプールだった。

「ナンパしてもらえばええんとちゃうん?」
「「は?」」

亜美の口から聞いた言葉は陽気にいうが
ゆきな、かすみからすれば素っ頓狂な言葉だった。

「だって、主催者はあんなグラドルかぶれのぶりっことイチャついてんねんで?
別にあたしらがなにしよーが勝手なんとちゃう?
放っておいた海が悪いんやし、
曖昧な態度なあいつが悪いっ
せやったらあたしらがナンパされようがあいつには文句言えんのとちゃう?
菜々美をはっきり断らんアイツはどっかで嬉しがっとんねんっ」
「!」

海の自分らに対する態度に亜美は苛立ち
ナンパされにアロハエリアに来た。
そして亜美の『海が嬉しがっている』の言葉を聞いてゆきなは反応してしまった。

(そうだよね…

普通、好きでもない女の子に抱きつかれたら
嬉しくなんてならないもんね…

ってことは
海は菜々美ちゃんのあの態度が嬉しいってことだもんね…)

「…あたし、やるっ」
「「え…?」」

ゆきなは立ち上がって
亜美の出した作戦に乗ることにした。
まさかゆきながやるだなんて想像もしていなかったかすみと良は驚いた。

「せやせや♪
その意気やっ
ほんならここのプール
一周する間に何回ナンパされるか
あたしと勝負やな♪」
「うんっ頑張るっ」

珍しくやる気のあるゆきな。

「じゃあ先にゆきなからな〜
後、行くんやったら
メガネは外しぃな?」
「え、え…?
メガネないと見えないんだけど」
「大丈夫♪大丈夫♪
行ってらっしゃーいっ」

そう言って亜美はゆきなのメガネとパーカーを奪ってプールに
突き落としたのだった。

「お、鬼だ…;」

良はゆきなに同情した。

「後はゆきなが
ほんまに誘拐されへんように見守るしかないな」
「は…?
どーいう意味だよ」
「え?
知らへんの?
このアロハエリアって
別名、ナンパの名所なんやで?」
「「…は?」」

さらに呆れた声をあげるかすみ、良。

「流れに身を任せて廻るプールやさかい
下手すると友達とはぐれてもうたりすんやて
それで、1人の女の子見つけては
男共がナンパしよるんやて
しかもここってプールやろ?
お触りなんてしょっちゅうで危ないのなんのって」
「おいおい
1人で行かせちゃい
ましたけど…」

良が今は流れに身を任せて行ってしまったゆきなの姿を見つめながら言う。

「ほんまやっ」
「白々しいぞっ(怒)」

吃驚した顔で亜美はゆきなをみるが
かすみにはその態度がうそっぽく見えた。

「…どーすんだよ…;」
「まぁ、なんとかなるなる〜」

心配するかすみを余所に亜美は至って陽気だったのだった。











一方、海はというと…。

「も〜!
いつになったら
ななみんのこと好きになってくれるのぉ〜?」
「いつになっても好きになんてならねぇし
あんたなんかに
興味なんてわかねぇのっ」

か弱さを見せながら海の腕を離そうとしない菜々美。
おまけに自慢の胸というやらを海の腕に押し付ける。

(おい…当たってんだけど…っ)

海にとっていい加減にしてほしかった。
いくら好きでもない子だとしても
男であり本能は雄の狼だ。
思春期である海にとってこれは我慢との戦いだった。
その柔らかさから遠ざけるタメに海は周りへと視線を逸らす。

「…れ…?」

周りを見るといるはずの仲間がいなかった。

あるのは最低限必要な飲み物やレジャーシート等などが置いてあるだけだった。

何回も何回も周りを見渡す
海だが、それらしい人物は見当たらなかった。

(他3人はいいけど…ゆきなは…?)

かすみ、亜美、良よりもゆきなの海は
彼女がそばにいないことに焦った。

もしかしたら迷子になりみんなで探しに行った可能性もあると思ったからだった。

「ちょ…俺、急用出来たから離れてくんね?」
「いーやっVv」

菜々美は余計に腕に絡んでくる。

「…どーしたら離れてくれんの?」
「ん〜…じゃあ
菜々美の唇にキスしてくれたら行かせちゃうよぉ〜Vv」

にっこりと微笑む菜々美の出してきた条件に海は…。

「わかった…」
「え?」

チュッ

ただただ触れるだけのキスを菜々美の唇に落とした海。

「!」
「んじゃ」

スルッと海は菜々美の腕から離れてゆきなを探し出したのだった。

「ふ〜ん…案外、迷いないんだぁVv
海くんって♪」

唇に軽く触れながら
海の去って行った方を菜々美は見つめていたのだった。











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