君と出逢ってまた恋をした

□『たくさんの贈り物』
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「お前だったらさ…
ゆきなにどんなのが
似合うと思うよ…」
「テディベアだな」
「…は…?」


8月下旬
まだ暑い日が続くなか
季節も夏から秋へと少しずつ近づいていく。

そんなおり、
俺はあることに悩んでいた。

「つかよ…
なんでゆきなに
テディベアなんだよっ」

今日は買い物の
付き合いで良と
街に出て
ゆきなに合う物を
探しにやってきた。

だがこいつの考えが
理解出来ずに
俺は乾いた声をあげた。

「逆に俺が
なんでだよ
可愛いじゃんか
ゆきながテディベアを
抱えてる所を想像してみろよ
ある意味萌じゃんか」

(ゆきなが…テディベア…)

『うわぁ〜Vv
もふもふぅ〜Vv』

(…っ///)

海が想像したゆきなは
ゆきなより
少し大きめの
茶色いテディベアを抱えて
なぜか白とピンク色のロリータ服を身に纏い
満面の笑みで
ゆきなは子供のようにテディベアをぎゅうぎゅうと抱きしめていた。

「た、確かに可愛いかも知れねえけどな
それはダメだっ!」
「想像しといてそのセリフかよ…;」

(俺だって
あんなに可愛く微笑んでもらったことねぇのに
テディベアなんてもっとやれるかっ(怒)
わけのわからない海の嫉妬を自身で気づいておらず、
海はまだゆきなになにをあげようか考えていた。

「んじゃー…
指輪とか?」
「いや、俺もそれは考えた…
だがそれはまだ
早いつーか
いや、いずれは渡す予定なんだけど
俺としては
今すぐでも全然大丈夫なんだけどー
「ムリムリ
ゆきなは大丈夫でも
お前は後2年あるから」
「!!」

良の言葉を聞いて海は雷で頭を撃たれたような顔になっていた。

(あいつマジで
ゆきなに結婚指輪渡すの考えてたんだな…)

言葉には言わないが
良は海が真剣なあまり
変な考えに走ってしまわないかいろいろな意味で不安になっていた。

「…なにやろう…」
「まぁ、ゆきななら
物とかよりも
思い出とかのが
喜びそうだよな」
「お、お前…なんていかがわしい奴なんだっ!」
「俺の言ってる思い出は
そっちじゃないんだけど…
つーかお前のが
最低野郎だ」

海の言葉で良は何を想像したのかわかり
海を叱咤した。

「…思い出…か…
あそこらへんなら
確かあそこが…」

ブツブツと海は
なにかを呟いていた。

その姿を見た親友の良は…。

(今まで女子に関してあんなになってる海を
見るなんてまさに
それは止めろっての(怒)」

ゆきの子供っぷりにゆきなは世話を焼く。

「つか俺、仕事あるかも…」
「…海、仕事なの…?」

驚いた表情でゆきなは海を見る。

「ああ…もしかしたら、だけどな」
「…そっか…」

(海仕事なのか…)

残念そうにするゆきな。
かすみとゆきは
そのことに気がついていた。

「なに?俺がいないの寂しい?」
「な…っ!?
んなわけないっ(怒)」

顔を真っ赤にして
海に図星を突かれたゆきな。

クスクスと笑う海。
海はゆきながウソをついているのがわかっていた。

(なんの余裕だよ…っ)

赤く火照った顔を冷やす為に
ゆきなは頬を抑える。

「海ちゃんってば
本当にゆきなちゃんに
意地悪だよねぇー
ゆきのゆきなちゃんに
触らないでよねー」
「んだと…
チビ(怒)」

(また始まった…;
無視無視)

ゆきと海のケンカを放り出して
ゆきなは止めるのをやめて
亜美の話を聞くことにした。

「学生らしさ言うたら
やっぱりコスプレやとちゃう?」
「えぇっ!?
コスプレ!?」

亜美の提案にざわつく声が聞こえる。

「コスプレ言うても
一通りやとつまらんし
ありきたりになってまうからな…
コスプレの格好は


「んぅ〜;
服がない…」

あたしは今、重大なことで悩んでいた。

「姫ちゃんのレストランって
高級だからな;
あたしの持ってる服じゃ地味だからな〜」

パーティーや結婚式で
着るような服が一番なのだが
ここ10年くらい
そういうものには
参加していない為
服がなかった。

(しかも海と一緒…
気まづいけど…

だけど…)

「ちょっと嬉しいかも…」

えへへ、と照れたように笑うゆきな。

ゆきなも女の子で
好きな人と一緒に過ごせるということは
嬉しくて少し照れるものがあった。

「亜美とかから借りようかな…」

なぜかあたしは
亜美なら持っていそうな気がした。

(あ…でも
亜美、あたしより
痩せてるからダメだ…)

「ゆきに借りる…?」

亜美より先に思い出さなければいけなかった。

だが

「ダメだ…
ゆきのがあたしより
細い…っ」

そんなことはないのだが
ゆきなは自分のスタイルや体型に
コンプレックスがあった。

「はぁ…どうしよ…」


(早くしないと
海のお迎えが来ちゃうよ…っ)

服が決まらないまま
ゆきなは
混乱と錯乱にかかっていた。











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