君と出逢ってまた恋をした

□『たくさんの贈り物』
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麻見家

「おぉー…
さっすが
芸能人だけあるなー
その年齢でスーツが似合うてるで」
「褒めてんのか
嫌みなのかどっちだ…っ(怒)」


レストランで着るスーツの新調を
亜美に見立ててもらっていた海。

グレーのスーツに
黒のYシャツ
ネクタイは青ベースで
白のラインが十字に入っていて
左胸のポケットには
シルバーチェーンのワンポイントが付いていた。

髪型もいつもと違って
かっこよく決めていた。

「にしても…
お前ももうちょっと高校生らしい発想しやがれよな…
なんでレストランなんだよ」

亜美の付き添いと海の姿を傍観しに来たかすみ。
海の提案にかすみは
呆れたような表情を見せた。

「母さんが進めて来たんだよ;
まぁ、まさかケンカになるなんて思わなかったし…
実際に仲直り出来るとも思わなかったし…」

ネクタイをキュッと上にあげた。

「まぁ、頑張れよ」

ポンと肩を叩く良。

「お、おう…」

(やべぇな…
緊張して来たかも…)

速る鼓動を落ち着かせる海。
久しぶりに海はなにかに対して緊張していた。

「…ちゅーか
問題はゆきなやで」
「へ…?」

亜美の言葉に
海は気の抜けた声をあげる。

(なにが…問題なんだ?)

俺はゆきなになんの問題があるのかわからなかった。

「多分、今頃服ない言うて
騒いどるんちゃうんかな?」
「だろうな」
「「服?」」

良と俺の声がハモった。

「ゆきなそのレストランの雰囲気知ってるんやろ?」
「ああ」
「せやったら
完璧に服探してるな」
「ゆきな
普段出かける暇なくて
服買わないって言ってたしな…」

かすみと亜美は互いに話し合っていた。

「んなの…
ゆきに貸してもらえば
ぎょーさん持っとるとちゃうん?」

そう言ったら

「ドアホ(怒)」
「はぁ!?」

罵声を大きく亜美に浴びせられた。

「お前知らねえの?
ゆきは
モデル向きの体型だけど
ゆきなは
着痩せするタイプで
男が見とれるくらいの
いい感じな体型なんだぜ?」
「ゆきな、水着着ても
すぐパーカーで隠しちまうから
わからなかったんだな」
「その答えに俺はなんて応えればいいんだ?」

ゆきなは普段大きめの服を着ている為か
身体のラインがわからなかった。
だが、ゆきなと一緒に風呂に入ったりしている
かすみや亜美は
ゆきなが着痩せしてスタイル抜群なことを知っていた。

「良かったなー
あたしら来といてー」
「そうだな」
「ほんまに今度一緒に服買いに行かなあかんな」「だなー
どんなのでも似合いそうだけどな」

亜美とかすみがのん気に会話をしているが
時刻は4時半を差していた。

「ほなっ♪
ゆきなのメイクや服やら
髪型やらセットすんのに
時間かかるさかい
一時間半くらいに
来ぃや」
「あ〜…はいはい…」

もともとそのつもりで5時に迎えに行くと言っていたので
その辺は大丈夫だった。

「じゃあなー」

そう言ってかすみと亜美は去って行った。

「ゆきなめっちゃ可愛くなる気がすんだけど」
「当たり前だろーが」
「まだ海のじゃないけどね」
「(怒)」

ゆきなが可愛いのなんて承知済みだが
俺以外の野郎がゆきなの可愛さを理解していると思うと腹が立った。
さらにゆきなは俺のじゃないのは理解は出来ているが
人に言われると腹が立つのはこういうことだと思った。

「まぁ、とりあえず
頑張れよなー
1人の男として」
「…おう」

良にはお見通しなのか
俺が緊張しているのがわかっているからなのか
気楽にそう言ってきた。
まぁ、幾分かは楽になったんだけど
やっぱり緊張するはしてしまう俺だった。








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