君と出逢ってまた恋をした

□『決意と思い』
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生華高校の文化祭まで
あと10日

文化祭までの日数が2週間を切った。
教室を飾る小道具などの買い出しや
手作業でやる仕事に精をだす。

「はいは〜いっ!
注目ー!!」
「んだぁ…?」

手を叩いて教壇の上にいる亜美はクラスメイトに声をかける。
その声に周りは教壇にいる亜美に注目する。

「実際に着る服の
試着大会を開催するでー!」
「うそっ
来たんだー!」

クラスメイト達は教壇の前にある大きな袋5つを囲むように前に集まる。

「すごぉ〜い」
「ていうか
あれはどうやって持ってきた…?」

大量の服にゆきは関心するが
逆にあたしは亜美がどうやって持ってきたか不思議でたまらないのと
亜美の平然な態度が怖く感じた。

「海はなんの女装にするんだ?」
「俺は女装やんなら
完璧にやるからなっ
女装で笑われたら
恥の恥だからなっ!」

そう言って海は大量の袋の中から自分が似合いそうな服を探していた。
正直やる気なのか抵抗からくる意地なのかよくわからなくなっていた。

「ゆきなちゃんっ
ゆき達も探さないとっ!
取られちゃうよぉ〜」
「あたしは後でいいよ;」

今、目の前に映ってる光景はまさに弱肉強食の世界だった。
服の取り合いはハンパなく
男女構わず戦場の中だった。

「よぉ〜し
行くぞー!」

行く気満々のゆき。

「ダメ…っ
絶対にゆきはあの中に入っちゃダメだ!」

あたしはいろんなことを考えてゆきを止めた。

「なんでぇ〜!
いいのなくなっちゃうよ!?」
「あんたは芸能人だろーが(怒)」

ゆきの中にはケガをするとか、
痛い目に合うということがわかっていなかった。

「あっちなみに
星安姉妹は
双子専用で
この袋の中に入ってるから〜」
「早く言って」

思い出したように亜美は遠くにいるあたし達に話しかけて来た
しかもあたし達専用のがあるのなら
ゆきが行きそうになる前に言ってほしかった。

なぜなら…

「ぶーっ
ゆき、めちゃくちゃ
楽しみにしてたのにぃー!!」

すごいふくれっ面で
拗ねだすからだった。

「;」

こうなるとゆきの機嫌はなかなか直らない。
正直にいうと厄介かつめんどくさい。

「いいじゃないか
別にあたし達のは
別にあるんだから」
「いやいやぁあぁっ!
ゆきはゆきで勝ちとったのが着たかったんだもんっ!」

こうなるとゆきの機嫌を直す方法は一つしかない。

だが、この方法は
恥を捨てる覚悟が必要だった。


「ぶーっぶーっ!」
「…っ」

いじける姿はまるで子供だ。
そんなゆきにあたしは覚悟を決めた。

「…拗ねた顔も可愛いけど
オレはやっぱりゆきの笑顔が一番好きだな?」
「「「!!!!!」」」


クラスのみんな、亜美、良があたしの発言に驚いていた。
かすみ、海は着替え中だった

「ボクの為に笑ってくれない?マドモアゼル?」

ゆきに手を差し伸べる

「…っ」

ぷいっと顔を背けるゆき

「…今日はちょっと強情のようだね?
益々、そんな君が好きになりそうだ」
「…」

じとっとした目でゆきはあたしを見る。

(もう一息、か…)

あたしは最後の一押しにかけて
リボンを取りボタンを一つ外し、
眼鏡を取って前髪を掻き上げる。

そして

「あんまり意地張ってっと
お前の全て
奪っちまうぜ?ゆき」
「「「「!!!!!」」」」

クラス中が大騒ぎするなかゆきは…。

「ゆきなちゃんならゆきは全て奪われても大丈夫だもぉんっVv」
「あー…はいはい…」

機嫌をよくしたゆきなはあたしにがっつりと抱きついてきた。
グリグリと頭や頬を擦り寄せてくるゆき。
あたしはゆきをあやしていて周りの視線に気づかなかった。

「「ん?」」

ゆきも視線を感じたのか
あたしとゆきは同時に振り返る。

「ゆ、ゆきな…
あんた…そんな特技があったんかっ!?」
「と、特技…?」

一番最初に駆け寄って来たのは紛れもなく亜美だった。

「特技じゃないよ
コレはゆき、限定のだもんっ!」

ギュウッとあたしに抱きついてくるゆきは
知られたことに嫉妬していた。
悪いのは張本人のゆきなんだが…。

「あかんあかんっ
こんなんゆき1人だけの特権にしとったら
もったいないわ」
「ダメダメー!」
「ち、ちょ…痛い…
ていうか眼鏡…」

亜美、ゆきに腕を引っ張られてあたしはそれどころじゃなくなっていた。
というより眼鏡を投げてしまった為
視界がぼやけにぼやけていて誰が誰だか見えずにいた。

言い合いする2人の間をぬって眼鏡を探していると。

「ほいっ♪ゆきなっ」
「あ…良、ありがとう」

眼鏡を良にかけてもらった。
視界がいつものように戻った。

「にしても
ゆきながあんな七変化出来るとは思わなかったなー」
「し、七変化っていうか…
あれはね真似なんだよね…パパの」
「父ちゃん…?」

パパはいつもゆきやあたしが泣くとああやって
自分が演じて来た役を毎回変えて
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