君と出逢ってまた恋をした

□『真実はもう1つ』
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「はぁ…っ」

(距離はちょっと離れてるけど…
やっぱり誰かに見られてたっ!!)

階段を駆け下りて
ゆきは自身を見ていた誰かを追った。

(きっと…その人がなにか知ってるはずっ)


ゆきは階段を数段飛ばして、誰かに追いつこうとした。











「はぁ…っ…」

息を切らして壁にもたれかかる。

(こんなに走ったの久しぶりかも…

もう、ついて来てないわよね…)


後ろを振り返る。

「残念だったね♪
先回りしちゃったぁ〜」
「!!」

振り返るとそこには追ってまいたはずのゆきがいた。

「あなただったの…
今までゆきにイタズラしてたのは…
菜々美ちゃん」
「…っ…」

ゆきの眼差しに菜々美は怯む。

「だ、だってあなた…
海くんに近すぎだわっ!

海くんにはあたしみたいな子が必要なのよっ!
海くんに近づくんじゃないわよっ!」

菜々美は近くにあったボールをゆきに向かってなげた。

「っっ!」











「でなー
あたしとしては
ほんまはもうちょい
ピンク黒で攻めたかってんやけど
やっぱり問題がな〜…」
「そりゃあカメレオンの色をピンク黒で攻めたらな〜…
世界のカメレオンも
逃げるっつーの」

亜美とかすみはたわいのない会話で話しを進める。

「…遅くねぇか?
ゆきなの奴…」
「気になるなら
迎えに行けば?」

飾り付けを飾る良に
それを見届ける海。
海はさっきからゆきなが気になって仕方なかった。

「な〜んか…
最近のゆきな
つき合い悪いんだよな〜」
「というより
君とゆきなはまだ全然つき合ってないからね〜」

しみじみと話す海に
良はさらりとツッコミを入れた。

「そうじゃなくって
なんつ〜か…
ゆきななのに
ゆきなじゃねぇ、みてぇな…」
「大変大変大変〜!!」
「「「「ん?」」」」

海、かすみ、亜美、良は声の主に一斉に振り返った。

「ゆきな?
どうし…
「ゆきなちゃんが
犯人、捕まえに行っちゃったよぉっ!!」
「「「「!?」」」」

ウィッグを取ったゆきは半泣きになりながら
そう叫んだのだった。












「ぁ…っ」
「あっぶなー…;
マジ、本物のゆきなら
テレビもんだわ」
「え…?」

片手でボールを掴み、
ウィッグを取った。

「あたしはゆきなの方だ…
本物のゆきは上にいるよ

気づいてないのなんて珍しいね…あんた」

「ふ、双子だった
なんて…」

悔しそうに菜々美ちゃんは唇を噛み締める。

「あの子はあんたのイジメにも
屈しない子だ…
だからあんたのことは怒りはしないと思う…
でもあたしは違うっ!!」

あたしは菜々美ちゃんを見た。

「ゆきを傷つけようとする奴はあたしが絶対に許さないっ!
例えそれが海だって殴り倒す勢いなんだからっ」

ゆきはあたしが守る

小さい頃からのあたしの誓い。

誰に傷つけられても

あたしが守る

「じ、じゃあ
海くんに近づいていたのはあの子じゃなくて
あなたってこと!?」
「あたしからじゃない
あいつから近づくんだっ!」

菜々美の大きな誤解に訂正をくだす。

「海くんがあなたみたいな人に近づくわけないでしょ!?」
「はぁ!?
じゃあ本人に聞いてみなさいよっ!!」

売り言葉に買い言葉
ゆきなと菜々美は人が来ない二号棟の廊下でケンカしまくっていた。











「ど、どういうことや…?
なんでゆきがゆきなの格好してんねん」

ゆきがずっとゆきなに扮していたことに気がつかなかった亜美は
めちゃくちゃ驚いていた。

「ゆきなちゃんが
犯人を突き止める為だ、って言ってたの…
ゆきにはケガされたら困るって言ってたから
だからゆきなちゃんとあたし、
あの事件の日から
ずっと2人で入れ替わったりしてたの
部活とか仕事は素でやってたけど…」
「敵を欺くためには
まず味方からって
言うもんな…」

ゆきの説明でだいたい納得するかすみ。


「で…ゆきなはどこにいるんだよっ」
「え…あ…二号棟の方の階段を下りて行ったけど…」
「とにあのバカ(怒)」

海は急いで教室を飛び出し
二号棟の階段の方へ向かって行ったのだった。

「さすが海だな〜…
ゆきなの違和感に唯一
気がついてやがったんだぜ?」
「フフフ…海ちゃんって鈍感なのか勘が良いのかわかんないよね」
「「「確かに」」」

関心しながら良は海の背中を見送る。
その良の言葉にゆきはクスクスと笑い、3人はゆきの言葉になぜか納得してしまったのだった。











「…のバカ…っ(怒)
まじ覚えてろよっ!」

また勝手に動き回って

心配するだろーがっ

つか
守れなかったとか
後悔したくねぇんだよっ











★ ★ ★ ★

「というより…
どうしてあなたなのっ!?
あなたなんかより
あたしの方が
海くんに相応しいわっ!」
「…だからゆきにあんなイジメを…?」
「そうよ…
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