君と出逢ってまた恋をした

□『学園祭(1日目)』
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side K


さっき駆けつけた時、ゆきなに思いっきり目を逸らされた。

原因は昨日のアレだ。

(だからって明らかに避けなくてもいいべ?)

間接的な告白だが
俺にとって真実が2つわかった。
1つはゆきなが俺とCMを撮ったはずのゆきになっていたこと。
2つめはゆきなが俺を好きだ、ってことだ。

顔がにやけてしまいそうなくらい俺はあの時ゆきなが言った言葉を思い出す。
正直、末期だ。
嫌だった女装もやる気満々だ。

「良、俺は今日はいつも以上に機嫌がいい」
「あっ、そーなの?」

だけどゆきなはあの時『犯人が見つけるまでは無理』的なこと言ってなかったか…?

(ん…?
それって犯人が見つからなかったら
永遠にゆきなと向き合えねぇってことかっ!?)

真実に気づいた俺はまるで雷で脳天からつま先まで撃ち落とされたように気分が一気に急降下していった。

「良くんよ…
俺の気分は今、猛烈に最低ランク級の機嫌の悪さだ」
「は…?
1、2分の間になにがあった訳…?;」

上機嫌から一気に不機嫌になった俺は正直、良と話している気分ではなくなった。

(ゆきなの為に
犯人探すか…)

ゆきながゆきの為ってのが気に食わないが
俺はメイクを仕上げて
更衣室から出た。

教室へ行くと既に女性陣は着替えて開店の準備をしていた。

「あっ、
海、あんたは10時〜11時まで良と学校中回って呼び込みな〜」
「は…!?
俺が呼び込みかよっ!」

教室に入ってからいきなりの要求。
相変わらず自己中心的な女だ。

「当たり前やん
あんたらの面で
男子を引っ掛けてきぃや」
「しかも男かよ!?」
「女装した男子が
女性引っ掛けて何が楽しいねん
女装して男子引っ掛けた方がよっぽどおもろいわ
サッサと行ってきぃや
ゆきなとゆきは
先に行ったで」

サラリとやつは重大なことを言った気が…

というより

「なんで
ゆきなとゆきが呼び込みに行ってんだよっ」
「そら可愛いからやん」
「お前のその選択した言葉に俺はどう応えたらいいんだよ(怒)

とりあえずアイツら探しながら
呼び込みすんぞ良」
「そうだな、何かあったら大変だしな」

早めにゆきなを見つけたかったが
それじゃあ私情挟みまくりで減点ポイントになりかねなかった。

教室から出て呼び込みをしに外へ出た。











★ ★ ★ ★

「おい、良なんつか…
ゆきなより可愛い子がいねぇな…」
「あの
さ…海
女装の姿であんまりそういうこと言わない方がいいぜ
後、君一応アイドルだからね
そして俺らの目的は呼び込みであり
ゆきな達を探すのはその次だからな」
「お前冷たくねぇっ!?」

女装の姿なのに良はいつも以上にサバサバとしていた。

「たく…
しかも男率高くねぇか…?」
「確かにそうだな…
やっぱりゆきの影響があるのかもな〜」
(やっぱりそういうのもあんだな…)

もしかしたら外部の人間がゆきになにかし出すかも知れないという可能性は無くもなかった。

「ねぇねぇ
君、ゆきちゃんじゃないっ!?」
「「ん?」」

ゆきの名前に反応し、俺と良は声のした方へ振り返った。

「うわぁ〜Vv
まじ可愛い〜Vv
なんで男装してんの?」
「あ、あの…」


振り返ると4人の大学生に囲まれたゆきはオドオドとしていた。

「なんで1人なんだ…?」
「さぁ?よくわかんねぇけど
とりあえず助けた方が…「お兄さん達、もしかして暇人?」
「「!」」

助けようとした瞬間、
ゆきなの声がどこからか聞こえた。

ゆきがいた木の上からゆきなが降りて来た。

「な…っ!?」

上から人が降りて来たこと
に男達は驚いて
少しゆきから身体を引かせた。

「俺らより
後ろのお姉さん達に声かけた方が妥当なんじゃねぇの?」

夏服の制服を着たゆきなはニッと笑い男達の後ろにいる俺らを見る。

(あいつ…;)

損な役回りだがゆきなの為なら仕方なかった。
俺はゆきなとなんの相談もしずに
その言葉だけで全てを理解した。

「あら、あなた達
カッコイイわね」
「どう?あたし達と
デートしない?」

パチンとウィンクを俺と良は男にかました。

「「「「は、はいぃいぃっVv」」」」

男4人の大学生はたちまち俺らに虜になった。
正直イヤだが仕方がない、俺はゆきなに視線を送ろうと目を向けた。

「ねぇねぇそこの君、
俺らと一緒にランチしねぇ?
君にぴったりなランチが選べるんだけど」
「あ、あいつ…っ」

既に男達の事なんて解決済みかのようにゆきなは他の女性客に声をかけていた。

(しかもなんかあいつ手馴れてねぇか…?)

ゆきなのあの姿を見たのが初めてだった俺は驚いた。
とりあえず、俺と良は男4人を家庭科室へ行かす為にそこまで案内させようと学校内に入る。

「あぁ…そうか…そうなんだ…」
「あ?」

家庭科室へ向かう際
ぶつぶつと
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