☆麻見さん家の生活☆

□『日常〜1年目〜』
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4月 新学期



麻見さん家の子供が
12人いる今日この頃

ポカポカとした
春の暖かな日差しに
チラチラ
ふわふわと舞う
淡いピンク色した
桜の花びら
陽気なそんな1日に
麻見さんの家では
毎年毎年
忙しいことばかりです。



☆ ☆ ☆ ☆


「こらぁああぁっ!!
刃ぁっ!!
いい加減に起きなさーいっ!!」


空の鍋とお玉を持って
カンカンと起こすゆきな。

麻見家の1日は
朝から大変です。

今日から大半の学校が
始業式。

短い春休みが終わり
新しい学年になる子供
新しい学校に入学する子供達が
この麻見家にはいました。

今年小学生に
入学したのは
麻見 刃
幼稚園に入園したのは
2歳になる志紀。


一昨日、入学式 入園式を済んだ
刃と志紀だったが
刃はすっかり
幼稚園から卒業出来ていないようで
ギリギリまで寝ていた。

「もー刃ぁっ!!

小学校は
幼稚園と違って
バスが迎えに来るわけじゃないんだよっ!?

早く起きなきゃ朝ご飯さえ食べれないんだよっ!?
わかってんのっ!?」

刃の体を激しく揺らすゆきな。

「ふぇ…?
あさめし…?」

目をうっすらと開け
よだれを垂らした
締まりない顔で
刃はぼやく。

「そうよっ!!
朝ご飯食べないと
刃の1日は始まらないだろ?」

「んしょおぉおっ!!」

「!!」

ガバッ


刃は勢いよく起き上がった。

「おっはよー!!
母ちゃんっ!!」

ニカッと
父親に似た笑顔で
刃は目を覚まし
タッタっと
リビングへと向かった。

「まったく…
世話のかかる子だね」

と苦笑しながらも
ゆきなは嬉しそうだった。


その頃の居間では…。


「あ〜…
またうるせぇのが
入って来やがるな…」

頭を抱えながら
うなだれるのは
低血圧の長男である天真。

「まぁ…兄貴は
来年、小学校卒業だし
少しの辛抱だよ」

優しく答えるのは
次男の翡翠。

「呑気だな…
龍二が入ってきただけでも大変だったのに
あのやんちゃ坊主で
龍二と迷惑コンビの刃が入ってきたら
俺は鬱で死ぬぜ…?」

想像したのか
天真の表情は青かった。

「お兄ぃは大袈裟だって
たかが分団で一緒に
朝行くくらいでさ」

人の苦労も知らないで
呑気に飄々と
味噌汁を飲むのは
長女の翠だった。

「朝からテンション下げられて何が楽しいんだ…」

はぁ、とため息をつく天真。

「わぁ〜いっVv
飯めしー!!」


「「「;」」」

ドタドタと大きな足音をたてて
リビングへと登場したのは
先ほど起きたばかりの
刃だった。

そんな刃の登場に
若干の汗を流す
天真 翡翠 翠。
これからの登下校への苦労が
本人を目の前にして悟った。

「はい、
やんちゃんの分のご飯ね?
食べたらちゃんと
歯を磨いて
お洋服に着替えるんだよ?」

「ふわぁ〜い(は〜い)」

紀沙の注意を聞いているのかいないのか
とにかく刃は
口ん中にたくさんの
ご飯をかき込みながら
食べて食べまくっていた。

「よくあんだけ入るぜ…」

食べる量の驚きに
天真は吐きそうだった。

「そ〜かなぁ…
あたしは余裕だけど」

「春音は論外」

先にご飯を済ませた春音は着替え
ランドセルを手に持ち
刃の食いっぷりに
あまり驚いていない様子だった。

それは春音も刃と同じくらい
食べるからだった。

その言葉に翠は
あっさりと応えたのだった。

「今年の一年生は
可愛い子がいたか?」

「朝からどんな質問してるんだ…;」

三男の龍二が刃の隣りで女の子の話しを持ち出し
あまりのひどい質問に
翡翠は呆れた。

「来年は鳴美かぁ〜
良いよな…」

「いい…?」

「いや?なんでもないぜ?」


天真のぼやきに
反応する鳴美はきょとんとしていた
その様子がおかしくて
天真は鳴美の頭を撫でた。

「しーちゃんねー
ちぇんちぇーに
あまえっこなの」

「がくにぃもでちょー」

岳斗が志紀の様子をみんなに報告しようとしたが
流里波が岳斗が
先生に甘えん坊なのを
みんなに伝えてしまった。

「まぁ、初めはそーいうもんだよなー?」

「ねー?」

志紀の頭を撫でながら
春音は賛同する。


「お前ら呑気だね〜…
春休みボケで時間
間違えてんじゃねぇだろうな…」

「あ〜う〜」

雨実を抱きかかえながら登場したのは
タンクトップと
スウェットを履いた
父親の海だった。

寝不足なのか
若干ガラが悪い。

「たく…朝から
ガラ悪い声だしてんじゃねぇよ…」

父親に対する態度は
爆裂悪い天真は
低血圧って理由で
イライラしていた。

「俺のゆきなは?」

そんな態度も気にせず
ゆきなloveな旦那は
ゆきながいないことに
気がついてキョロキョロと周りを見ていた。

「はぁ…
母さんなら洗濯干してんじゃないの?」

翡翠が呆れたように
庭を促す。

「ちょっくら補充してくらぁ…」

「おいっ(怒)」

天真に雨実を預けて
庭へ向かう海。

「はいは〜い
さっさと学校に行く準備しなー
刃もご飯はそこまでだよっ」

「ふわぁ〜い(は〜い)」

翠が母親の代わりに
手を叩いてみんなの行動を指示する。
その合図と共に各自が動き出し
幼稚園組は大人しく外でバスを待ち、
小学生組は分団で集まる場所へと向かったのだった。




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