School novel

□第1章〜始まり〜
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春は始まり、出会いの季節。咲き誇る桜の木の下で君と出会った…。




−入学式−

学校中の桜の木が、新入生達を迎える様に咲き誇っている。


「ここ…どこ?」

そんな美しい光景の中、白髪の少年が辺りを見渡しながら、入学式が行われる体育館と掛け離れた場所で立ち止まっていた。

「この学校広すぎなんだょ…」

先程まで一緒にいた同級生の姿はいつの間にか消えていて…。

此処は中庭らしい。

「どうしよう;このまま入学式に出れなかったら…;」

どんどんとマイナス思考になる考えを振り払うかの様に首を振る。

とにかく誰か見つけて場所を聞かないと…。

刻一刻と式が始まる時刻が迫っている。



再び歩きだすと、いつの間にか目の前にどの木よりも立派な桜の木が聳えていた。

日の光を浴びて輝いて見えるその姿は美しくもあり、堂々としていて圧倒された。

「うわぁ…綺麗…」

「だろ?」

思わず口から出た感嘆の言葉に返ってくるはずのない返事が返ってきて、驚いて木を見上げる。
木が喋ったとは思わなかったが、姿が見えないせいで気味悪く思い、その場から後ずさる。

「ちょッ!待ってさ!!」

再び聞こえた声。
それと同時に木の影から片目に眼帯を付けた、鮮やかな赤毛の青年が顔を出した。
ネクタイの色から3年生だと分かる。


青年は驚く少年にニッコリと微笑みかけ、トントンと自分の隣を叩く。

「こっち来いよ」

「…ぇ?…ぁ…ハィ…」

早く体育館に向かいたかったが3年に逆らう訳にもいかず、怖ず怖ずと隣に腰を下ろす。

「お前新入生だろ?入学式出ないんさ?」

ストレートに痛い所を突かれた。

「…;体育館の場所が分からなくて…」

「…迷子になったんさ?」
そう言われ少年の顔が赤く染まり、その様子を見て青年は思わず吹き出した。

「ハハハハッ!お前可愛いなvVクククッ…ねぇ、名前なんて言うの?」

初めて会った人にここまで爆笑されて、オマケに可愛い発言。
恥ずかしいやら、むかつくやら…。

「ァ‥アレンです!!///アレン・ウォーカー…」

「アレンか…俺はラビ。俺も入学式出るんさ。一緒に行かねぇ?」

ラビと名乗った青年は、人懐っこい笑みを浮かべて立ち上がる。
それに吊られる様に、アレンは顔をパッと輝かせて立ち上がった。



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