I never need an umbrella.




「武ー」

「ん?」

「…あきた!」

「早ぇなーもう飽きたのか?」


いつもの笑顔を浮かべながら頭を撫でてくれる掌。
武の、この世で一番熱い掌。

睨み合っていた文字列に飽きて思わず突っ伏したテーブルが、固くて頬骨が痛む。
それでも武が撫でてくれる頭のてっぺんだけがふやけてしまいそうな程心地良くて、視線だけを上げて武を見つめると、それに気づいた武は目尻をキュッと細めて最高のスマイルをお見舞いしてくれた。

あぁ…もうわざとやってるのかな…
思わず見とれてしまうその笑顔をただぼーっと見つめたまま、もう勉強なんていいかな、と頭の片隅で思う。


窓の外ではパタパタと雨が並盛を打つ音が聞こえる。本当は晴れていたなら外へ遊びに行くはずだった休日。
それが朝から降り続いているこの雨のせいで、今日は急きょ私の家で勉強しようか、って事になったはいいけれど…

一人なら集中もできたかもしれない。

でも、せっかく武といるのに頭を文字や数式だけで埋めることに使えるわけがなかったね。

こうして勉強にも飽きて投げ出してしまったのは、勉強を始めてまだたったの30分のこと。


「なあ、もうやめんのか?」

「…やめたら呆れる?」

「なんだそれ、別に呆れねえって」

「じゃ、やめちゃおうかな」


言った私にそうだな、と相槌を打つと、すぐに立ち上がった武は数歩歩いてすぐに私の隣に腰を下ろした。
思わず顔を上げた私の腰から手を回して、ぎゅっと身体を寄せた武の匂いがすぐに自分を包む。


「じゃ、ちょっと仲良くしてもいいよな?」

「は!?ちょっと…」

「なんもしねぇから」


そう、言われてしまったらおしまいだ。

すぐに、だっておじさんもおばさんもいるんだろ?と付け足した武がほほ笑むその顔は、いつもと何も変わらない。
なのに今の私にはどこか意地悪で、身体ごと収縮してるように錯覚するくらい、自分の鼓動だけがおかしいほど大きくなってる。

武の掌が頭を撫でる度、顔を寄せてくる度、なんとかそれを気付かれないよう胸を離すことばかりに必死になる。


「**?」

「…ちょっと、だけだからね」

「え?」

「そしたらまた勉強もどるからね!」


決して向けられない顔を背けたまま言い逃げた私に、ほんの少しの間をおいてから、
武はいつものようにああ!と元気よく返事をして回した腕の力を強くした。


柔らかに、顔中に押し当てられる唇。

黙々と、何度も降り注いでくる熱い塊。






RAINY―



表よりもずっと激しく。








久々変更になります!
!
仲間達置場も作ったのでメインの子達にも担当してもらうことにしました^^


貴女の拍手に心から有難うゴザイマス!

…ついでになにか一言でも下さるとそれはもうすっごくダイレクトに管理人の励みになります よ ?
そちらの返信レスについてはRe:にて!







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