NOVELS
□逃避行2
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一ヶ月前、綱吉は恥も外聞もかなぐり捨てて、アイツに気持ちを打ち明けた。
好きなんだ、と。
マフィアのボスになんてなりたくない、ただお前と一緒にいたい。
今思い出しても恥ずかしくて死にそうになるが、それだけ綱吉は必死だった。
綱吉が立派なマフィアのボスになったら、またフリーの殺し屋に戻ると言ったアイツの言葉を聞いて、気持ちを抑えることが出来なかった。
結局、未だに返事は貰えず終いだが、アイツは一言、
「なら、俺と一緒にイタリアに住むか。」
と言った。
藁にもすがる思いで頷いた綱吉はらあれよあれよという間に、ここ、ローマに連れてこられた。
二人暮らしを始めてから今日まで、アイツの口からマフィアの話題が出ることはなく、また、綱吉がその話をすることもなかった。
この生活がいつまで続くのか、アイツが何を考えているのか分からない。
恐くて、綱吉は未だに真意を聞けていなかった。
「あーぁ……、いっそのこと、スッパリ振ってくれれば良かったのにさ」
「ほぉ……、あんな死にそうな顔をしておいて、今更そんなことを言うのか」
「……っ!?リ、リボーンッ!?」
ぱっ、と顔を上げると、そこには見慣れたアイツが立っていた。
明らかに不機嫌な顔で綱吉を見下ろしている。
若干息が上がっているように感じるのは、気のせいだろうか。
そういえば、いつも被っているボルサリーノも見当たらない。
まさか自分を心配して、とドキドキする綱吉の期待を吹き飛ばすように、リボーンは厳しい目で綱吉を見下ろした。
「ひっ……!」
「このダメツナが。手間掛けさせやがって。死にてーのか?」