NOVELS

□逃避行3
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「ひぃぃっ!ごめんなさいいぃ」

リボーンから放たれる殺気は本物だ。
綱吉は思わず、頭を抱えてうずくまった。

「全く……ダメツナの癖に、なんで一人で……」

イライラと呟くリボーンの視線が、綱吉の手元で止まった。

「おいダメツナ、その手に持ってる袋はなんだ」
「ごめんなさいすみませんもうしませ……え?」

そろそろと腕の間からリボーンを見上げる。
未だに不機嫌そうな顔は変わらないが、殺気は先程より多少和らいでいた。

「聞こえなかったのか?その手に持っている袋はなんだ」
「え……、あ。」

そこでようやく、綱吉はコーヒー豆の存在を思い出した。
元はと言えば、この為に綱吉は迷子になったのだ。

「コ……、コーヒー豆、切れてたから……」

ぼそぼそと喋り、視線を剃らす。
ただでさえ、リボーンの気まぐれで始まったも同然のこと生活だ。

呆れられて、やっぱりお前は日本に帰れと言われるのが恐かった。

リボーンが、はぁとため息をつくのが聞こえて、綱吉はビクリと身体を震えさせた。

「一人で出歩くんじゃねえ。外出するなら俺に声を掛けろ」

そう言って綱吉の手から紙袋を取ると、リボーンは歩き出した。

「え……?、え?」

困惑する綱吉をよそに、リボーンはすたすたと歩いていく。

しかし、綱吉が付いてこない事に気づいたのか、立ち止まると、面倒くさそうに顔だけ後ろを振り返った。

「何してんだダメツナ、帰るぞ」


その一言が、泣きたいくらい嬉しいものであると、リボーンは知っているのだろうか。

口を開いたら泣いてしまいそうで、綱吉は俯いて、彼の後ろ姿を追いかけた。

どうなるか分からない未来だけれど、彼と一緒にいられるのなら何でも良い、と、そう思った。



END

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