NOVELS

□34143HITキリリク
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思わず。
睡眠薬を飲ませて綱吉を監禁した。

ほんの出来心だったけれど、後悔はしていない。

むしろ今までどうしてやらなかったんだと、目からウロコだった。

部屋に帰ると綱吉がいる。

幸せだ。

他の誰にも綱吉を盗られない。

満足だ。

大体アイツは、自分意外の人間にまで優しすぎると思う。
綱吉の優しさも愛しさも、向けられる対象は自分一人で充分だ。

カツカツと、急ぎ足で自室へ向かう。

溜まった仕事は片付けてきた。
後はカス鮫あたりが勝手にやればいい。
これから数日間は、自室に引きこもる気満々だった。
 ザンザスが部屋に引きこもるのなど別に珍しくもなんともないから、周りも気にしないだろう。

ガチャ。
はやる気持ちを押し殺して、ドアを開ける。

急いでベッドに視線をめぐらせると、その上に、柔らかそうな、実際柔らかいのをザンザスは知っているが、薄茶色の髪が、枕に埋もれ、呼吸に合わせて小さく揺れていた。


きゅん。
そんな音がどこか、例えばみぞおちとかその辺から、した。

―――可愛い

頬が緩みそうなのに気付いて我に帰り、ぐっとしかめ面を作る。
抜けた自分の顔など、綱吉には見せたくなかった。

平静を装い、後ろ手にドアを閉める。
そっと近寄り、側にしゃがんだ。
間近で見ると、ギョッとする程華奢である。
けれどそのくせ、自分ですら敵わない力を持っているのを、ザンザスは知っていた。

「綱吉…」

囁くように呟きながら、手を伸ばす。
すると、ピクリと反応を返した綱吉が、ゆっくりこちらを振り返った。
心臓が跳ねる。
しかし、目が合い、そこに予想外の怒りを感じて、ザンザスは思わず動きをとめた。

「…遅い」

綱吉が低い声でボソボソと言った。
何を言っているのかわからなくて、ザンザスはただ固まるしかない。
そんなザンザスに焦れたように、綱吉が身体を起こし、さっきより大きな声で言った。

「来んの遅いよ」
「……」
「こっから動けないし、暇つぶすもの何もないし、お前いつ戻ってくんのかわかんないし、」

言いながら、綱吉は次第にうつむきがちになる。


「……綱吉」
「ばかザンザス」

上目遣いで言われた最後の一言に、プツンと何かが切れた音がして、気付いた時には、力任せに引き寄せて抱き締めていた。
「わ」、と驚いた声が、耳元でした。

腕の中で、綱吉が苦しそうに身じろぐ。
でも離してやらない。
可愛すぎるお前が悪い。

「……ザン、ザス、くるしいよ」

ザンザスはさらに腕に力をこめた。
綱吉はそれでも尚抵抗を試みたが、しばらくすると諦めたのか、くたりとザンザスの胸に頭をよせてきた。

嬉しくなって頭を撫でると、ぎゅ、とシャツを掴まれた。
恥ずかしがりやの綱吉の、精一杯の愛情表現だ。
指先の震えが伝わってくるから、愛しくてたまらない。

ふと綱吉が、耐え兼ねたように口を開いた。

「人を監禁しといて放っとくとか、まじありえねぇ」
シャツを握る手に、ぐ、と力がこもる。

「せ、せめて置き手紙とかさ、考えなかったのかよ」

怒っているのかとも思ったが、綱吉が耳まで真っ赤になっているのを見て、ザンザスは、得心したように頷いた。

「なんだ、淋しかったのか」
「は…」
「俺が側にいなくて淋しかったんだろ」
「っな、じ、自意識過剰もほどほどに…」
「させてんのはテメェだろ」

くい、と顎を持ち上げる。
顔が真っ赤だ。

「っ…」
「綱吉」
「な、なに」
「言え。……淋しかったんだろ? 」
「な、ち、ちが、そんなんじゃ…」
「綱吉」
「ぅ……」

吐息が掛かるくらい顔を寄せる。

「綱吉」
「…………った、よ…」
「聞こえねぇ」

笑うと、キッと睨まれた。
全然恐くない。

「っ、うるさいな淋しかったに決まって…! 」

言葉は最後まで続かなかった。
ザンザスがふさいだから。

「…っ、…っふ」


密着した身体から、綱吉の鼓動を感じる。

綱吉も自分を求めていたのだと思うと、言い表せない程に嬉しかった。


―――あぁ、コイツここに住めばいいのに。

ほんの出来心と、ほんの思い付き。

手錠の鍵をなくしたことにでもしようかと考えながら、ザンザスは、蕩けた綱吉の顔を見つめて、シャツのボタンに手をかけた。



end?


 漆刃玲二様、たいっっっへん長らくお待たせしてしまって、誠に申し訳ないです…(>Д<;)
しかもこれ…あんまりヤキモチやいてない…
ただの甘すぎなウザイ文になってしまいました…
重ね重ね申し訳ありません…
いらなかったらばポイとしてくれて結構ですので;;

ではでは最後に改めまして、キリリクしていただいて、ホントにありがとうございました(T∀T)!!!




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