風影様の事情
□長男長女は得より損多し?
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ある日の主城。
屋上で水姫チャン特製サンドイッチを頬張ってた我愛羅様の近くで忍達数名が会話する声が聞こえてきた。
何やら色恋の会話らしい。
聞き耳を立てる趣味ではないが、
自分の存在に気付いて無さそうなので
オマケに天気もいいので、いまさら場所移動も面倒くさいので、
地蔵のように微動打しない石像に屈して気配を殺して座っていた我愛羅様。
「昨日の非番利用して彼女と火の国まで行ってよー」
「デートか?」
「UFOキャッチャーやったけど俺下手すぎるわ」
「俺も彼女欲しいなー。どこかにいい女いないかな」
「ギャハハハハ!」
などというなんとも今時の青年らしい会話であった。
我愛羅様も彼らとなんら変わらない歳ではあるが風影となった以上、色恋沙汰に時間を割く自由も限られてくる。
元々、恋愛だの恋だのに疎そうな我愛羅様だし、水姫チャンさえいれば後はどーでもいいと思っていたので関係ないと言えば関係ないのだが‥‥‥
2人共、超がつくほどの天然ゆえ、仲が一向に進展しない事が最大の問題だろう。
『水姫は俺の事をどう想っているんだろう‥』
大きな溝があるのではなかろうか。
マリアナ海溝より更に深い溝が‥。
「あー、水姫さんが俺の彼女だったらなぁ」
誰がボソッと言った聞き捨てならないセリフに素早く反応した我愛羅様。
『(な、なにッ!?)』
「あんなに美人で性格も可愛い人が彼女だったら自慢できるだろうなー」
「水姫さんって風影様の親戚って噂じゃん。付き合ってるのかな」
部下の忍達の間でも水姫チャンは人気者です。
さすが砂隠れのアイドル。
こんな身近にライバルがいたとあっては、落ち着いて眠れない。
なんとなく、危機感を感じてしまった我愛羅様は、とある決心をしたのでした。