落第忍者乱太郎/忍たま

□第九ノ巻
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「しほ〜ろっぽはっぽ〜、しゅ〜りけん!」

は〜、出城での唯一の楽しみは、このお風呂だな!

広々としてて、そして貸し切り!

最高だねぇ〜

「うちか〜え、されたよ〜♪ふふふっふ〜ん♪」

極楽極楽・・

「・・・あ、そうだ・・。」

夕餉を終えたら雑渡さんの所に行くように、

山本さんに言われてたんだった!!

先にお風呂来ちゃった・・。

「あ〜あ。」

もうちょっと長湯していたかったけど

急用だった場合、かなり怒られちゃうから急いで上がらなくては

「どうでもいい無いようだったら、
 私が怒ろう」

そうしよう!

急いで着替えを済ませて、雑渡さんの部屋へと向かう

「朽木です。」

「ん・・入りなよ」

「失礼しま・・・」

襖をあけ入ると目の前に珍しい光景が・・・

「早く襖閉めたら?」

「ぁ・・・すみません」

雑渡さんが、包帯変えてる・・珍しい・・

「・・なに?」

どうやらガン見してしまったようだ。

怪訝そうな目だ

「いや、やっぱりご自分で変えられてるんだなぁ〜と」

「・・・」

え?私なんか的外れなことでも言った?

「本当に君は変わり者だよ。
 この前包帯を変えている時、
 たまたま女中に見られたが、
 その女は小さく悲鳴を上げて逃げて行ったよ」

「・・・」

あぁ。そういう事か。

「私の場合、悲鳴は悲鳴でも、
 黄色い悲鳴上げちゃいそうですね」

キャーッかっこいい!って悲鳴ね

「なんだい、それは・・・・」

「まぁ分からなくてもいいですけど。」

なんか変態っぽいし←

「気味が悪いだろ・・?」

なんだか今日の雑渡さんは弱気だなぁ〜

「いいえ。まったく。これっぽっちも。
 なんでこんな火傷が出来たかは、私にはわかりません。」

うそ。

本当は知ってる・・。

この火傷の理由も、雑渡さんの過去も。

けど、知らないふりをしていた方がいい時だってあるでしょ?

雑渡さんの元へと近づき

火傷傷へ手を伸ばす

「分からないけど・・、この傷一つ一つが
 今の雑渡さんを作ってる・・」

1つ、2つ・・

近くに来ないと分からないよう切り傷が

そこら中に散らばっている。

この人はタソガレドキ忍軍組頭。

それなりの修羅場を潜り抜けてきた男だ

傷なんて、数えだしらキリがないだろう

「んっ・・」

切り傷一つ一つに、唇を寄せる

「・・・なにしてんの?」

「愛おしいんですよ、この傷全てが。」

私の大好きな雑渡さんを構成しているものだから

「この切り傷も、この火傷も全て・・。
 私のモノ・・ですからね・・。」

そっと左の目元にキスを落とす

まだ包帯が巻かれていないそこには

痛々しいやけどの跡が見えていた

「・・・君みたいな変わり者。
 ほかに居ないだろうね。」

「そんな変わり者を傍に置きたいと言うあなたも、
 相当な変わり者だと思いますけどね・・」

「・・・そうかもしれないね・・」

腰に回った手が、私を雑渡さんの元へと引き寄せる

「んっ・・」

「ンッ・・//」

引き寄せられたその勢いのまま

雑渡さんの唇が私の物と重なる

「ざっと・・さん//」

「アリカちゃん・・」

あぁ・・何も言わないで・・

今はただ、このキスに溺れていたい・・・

「ンッ」

「んぁっ・・//」

絡み合う舌が、二人の熱を加速させていくようだ

けど・・あぁ、だめだ。

人の気配が、頭を冷静にさせていく

「ンンッ・・ざっと、さん、だめです///」

「んはっぁ・・・・まったく・・野暮な奴がいたものだね・・」

1人、こちらへ近づく気配。

こんな所、見られるわけにはいかない。

「雑渡さん・・早く手、放してください。」

「・・・」

いつまでも膝の上に座っている訳にもいかない。

「人、来ちゃうんですけど?」

「・・・しょうがないね。」

渋々解放された私は、さっと飛びのき

距離を取って座る。

あくまでも何事もなかったように振る舞うために

「組頭ぁぁぁ!!」

ノックもなく入ってくるとは、不敬な奴め・・って

「尊ちゃん、そんな大きな声出しでどうしたの?」

「どぅわっ!!アリカいたのか!!」

襖の近くにいたため、勢いよく入ってきた尊奈門には

見えにくかったようだ。

「尊奈門・・・何事だ」

「ひぇっ・・あ、えっと・・」

そうとうご機嫌斜めだから、尊ちゃんファイト!

「とっ殿が今度のカワタレドキ城との交易の件で
 早急に準備をしろと、お達しが・・!」

「・・・は〜・・分かったよ。
 伝令、ご苦労」

「はっ、はい!!」

伝令を伝えるや否や、猛スピードで去っていってしまった。

雑渡さんの不機嫌を察したんだろうな〜

ご愁傷様!

「カワタレドキ・・たしか南蛮衣装に
 最近凝っているらしいですねぇ」

「耳が早いね」

「これでも情報収集は得意な方ですから!」

街に出た時とか、

うわさ話に耳を傾ける癖がついてしまったようだ。

「予定が早まった。
 明日から忙しくなるぞ。」

「は〜い!
 ところで、私に何か用があったのでは?」

そもそも私は何で呼ばれたんだろうか?

「あぁ、包帯、巻いてくれない?」

「だはっ・・!!」

この世界に来て、初めてずっこけたかも・・!

「まったく・・ご自分じゃまけないんですか〜?」

今までどうやっていたのやら・・

「いつもは陣内がしてくれたり、
 ・・最近は伊作君に変えてもらったりしてる」

「・・・まったくもう・・」

なにその素敵な設定・・!!

山本さんが、雑渡さんの包帯変えてたの・・!?

もう、最高じゃん!!

それでなに?今はわざわざ忍術学園まで行って

伊作君に包帯かえてもらってるの??

いいぞ、もっとやれぇぇぇい!!

「顔がにやけてるけど?」

「・・・持病なんで気にしないでください」

「変わった持病だね」

「あ、ほら動かない!」

あまり得意ではないけど、雑渡さんがするより

綺麗にまけれるだろう

「ちゃんとまいてね?」

「大丈夫ですって!」

・・・まぁちょっと歪だけどバレないバレない!

今度伊作君に指導してもらお!


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