落第忍者乱太郎/忍たま

□第十一ノ巻
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「よしっ・・・」

小袖の襟をピシリと正す

鎖骨やら、肩やらには昨日つけられた

雑渡さんの歯形がまだ残っているため

うかつに着崩れられない。

いつもより入念に身だしなみチェックをして

跡が見えていないか、確認する。

「大丈夫だね」

姿見で全体を確認して、今日の任務へと向かう。

任務といっても、忍び組のお手伝い。

未だに私は何処の隊にも属さずに

フリーにやらせてもらっているため

たまにできそうなお手伝いはやらしてもらっている。

「雑渡さんの所に行かなきゃ・・」

指示を出すのは当然組頭である雑渡さんであるため

急いでお部屋に向かう。

「組頭、アリカです」

「はいりな」

「失礼します。」

昨日の事が嘘のように、

私たちはまたいつも通りの日常に戻るのだ

お部屋に入ると、小頭である山本陣内さんもおられた

「小頭・・、お邪魔します。」

「あぁ、私の事は気にしなくていい」

「はい」

気にするなと言われても、ちょっとは気になる・・

まぁ、一緒になにか話でもあるのだろう。と

勝手に思うことにした。

「任務に向かわせる前に、
 君の立ち位置をはっきりさせときたくてね」

「立ち位置・・ですか?」

なんだか今更の用だけど、

きっちりとした役割があれば、変な目で見られることも

なくなるのかもしれない。

私はいったい、どこに所属するのだろうか・・・?

「今までは小頭達からの依頼をこなしていたけど
 情報系統がバラバラで少し面倒になってね。」

「まぁ、そうですね・・。
 ちょっと面倒ではありました。」

あっちの小頭から、こっちの小頭から

報告書は何枚も書かなくてはいけなかったし

伝達も面倒だった。

何処か一つに統一されれば、全体的に楽になるだろう。

「君はこれから私直属の部下、
 黒百合隊の小頭を務めてもらうよ。」

「黒百合隊・・・?」

はて?そんな部隊、あっただろうか??

「陣内と、ほかの小頭と話して、
 新しく新設したんだよ。
 君は独自のスタイルがあるし
 どこかに属する柄じゃない」

「ま〜、他の隊の職種には、私は当てはまりませんしね」

暗殺専門の部隊・・ということなのだろうか??

「というか、私が小頭でいいんですか??」

こんなペーペーがいきなり、余計に反感買わないか??

「基本君一人だしね」

「・・そうでした。」

私のためだけに設立された部隊。

組頭直属の黒百合隊

うん・・・しっくりくる・・。

雑渡さんは、ご存じなのだろうか・・・

黒百合の花言葉は

"恋"と"呪い"

まさに私たちの事の様に聞こえる

まぁ、彼はそんなこと、考えていないのだろうけど・・・

「あぁそうだ。
 シーラカンスとご冗談とそりゃそうだも一緒だから。」

「・・・椎良勘介さんと、反屋壮太さんと五条弾さんですね。」

絶対わざとだろ

「そうそう、その三人。
 黒鷲隊と兼任で任せてあるから。
 後処理部隊として使ってね。」

どうやら、黒鷲隊の小頭である

押都長烈さんには話を通してあるらしい。

うん、これならいつもと変わらないな。

これからは雑渡さんの命にのみ従い、

雑渡さんにのみ、報告をすればいい。

単純明快でわかりやすい!

「タソガレドキ忍軍黒百合隊小頭
 朽木アリカ。」

「はい。」

「これからも、私のために働くんだよ?」

「は。」

そこはこの城のため・・ではないのか?

なんて思いながらも、ニヤケる表情は収まらなかった。

名実共に、これで私は彼の傍に居られる。

彼の助けになれると思うと、喜びが爆発しそうだった。

「何か困ったことがあれば、私にでも聞いてくれ」

「山本さん・・・はい!助かります!」

事務処理は苦手だから本当に助かるぜ!!

これからは、そっちもちゃんと学んでいかなくちゃなぁ〜

「それじゃ、アリカちゃんの立ち位置もしっかりしたし
 ここからが本題ね?」

「「は」」

今宵の任務は大掛かりなことになりそうだ・・。
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