落第忍者乱太郎/忍たま

□第十四ノ巻
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「疲れた〜」

久々に運動した後みたいな感じだ

出城から忍術学園を行き来し、全力で応援に精を出したせいか

もうクタクタだ

混「だらしないねぇ〜」

「歳ですかねぇ〜」

混「何馬鹿言ってんの」

「いでっ」

軽く小突かれてしまった・・

まぁ年下の私にそんな事言われたら

雑渡さんはどうなるんだって話だもんね!

「組頭、入っても?」

混「なんだい?」

もう隠すこともなくなったので、

雑渡さんの部屋に普通に居座る

そこに顔をのぞかせたのは山本さんだった

混「どうかしたかい?」

山「はっ・・・その・・・」

「あ、私がいると話しにくいですよね!」

邪魔者は退散!と部屋を出て行こうとしたら

引き留められてしまった

山「いや、お前に用なんだ・・」

「私に?」

私に用という割には、なんとも言いにくそうな表情だ

混「・・・陣内、あれかい?」

山「・・・はい。申し訳ありません。」

混「しょうがないよ・・・。」

「えー・・と?」

あの、私抜きに会話成立させないでくださる??

山本さんは申し訳なさそうな顔をしながら

雑渡さんに一礼して部屋を出て行ってしまった。

私に用なはずなのに、その内容を私に伝えないまま

「雑渡さん、いったいなんなんですか?」

混「・・・今日は忍術学園からそのまま帰ってきたから
  殿も一緒に帰城されている。」

「はぁ・・そうですよね。
 本城までは距離がありますし、一旦ここで夜を明かして
 明朝戻られるのが普通でしょう」

遠出される時は出城を転々と渡り歩くのはいつものこと、

それがどうしたというのだろうか?

混「・・・殿がね、君をお呼びなんだよ。」

「ッ・・・!!」

なるほどね・・・。

だから山本さんはあんなに申し訳なさそうにされていたのか・・

山本さんはちっとも悪くないのにね

「まったく・・・殿も好き物ですね・・」

あの一回で興味を無くしたかと思ったのに・・・

今回だって是が非でも喘いでなんてやらない

マグロを貫いてやる

混「ごめんね・・」

「またその顔。
 私、雑渡さんのその顔嫌い。
 いつもの不敵な笑みは何処に行ったんですか?」

俯く視線を上げるように、頬に手を添える

「前にも言いましたがこればっかりはしょうがありません。
 この城に務めている以上、目を付けられた以上従うしかない。
 雑渡さんも覚悟を決められていたでしょう?」

混「・・そうだね。
  厄介な殿に仕えちゃったなぁ〜」

「それ、聞かなかったことにしときますね」

ぎゅっと抱きしめてくれるその腕はいつもより力強く

離したくないことが伝わってくる

けど、そういうわけにもいかない・・

「雑渡さん、行ってきますね。」

混「・・・」

ゆっくりと腕の力が緩み、私を解放する

「・・・・帰ってきたら、いっぱい上書きしてくださいね?」

口布越しにキスをする。

混「早く帰ってくるんだよ?」

「善処します・・・」

殿の気まぐれ次第だな・・・

さ、任務だと思う。

何も考えないのが一番いい。

雑渡さんの部屋から移動して、殿の部屋の前までくる

相変わらず襖の向こうには殿の気配のみ

以前と同じ・・ということは、そういう事なんだろうな


「・・黒百合隊朽木、参りました」

「入れ」


さぁ・・・長い夜の始まりだ。


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