落第忍者乱太郎/忍たま

□第十六ノ巻
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伏木蔵と過ごす夏休みはとても楽しい毎日だった


午前中は一緒に薬草や毒草の勉強をして


午後雑渡さんの予定があいていれば、忍術の実践訓練


折角の夏休みなのに、これじゃぁ教科と実技を受けてるみたいで


学園生活と何ら変わりないのではないかと心配になる


伏「母上〜!
  この薬草はなんですか?」

「これは芍薬(シャクヤク)といってね
 ボタンの仲間なの。
 一種の痛み止めに使われるものよ」

伏「へぇ〜!
  初めてみました〜!」

「中々裏山には自生していないでしょうしね・・
 よかったら此処にあるものならお土産に持って帰ってもいいよ?
 良い研究になるでしょう」

見聞は広げるに越したことはない

伊作くん達保健委員さんにもいい勉強になるはずだ

伏「いいんですかぁ〜!?」

嬉しそうに目を輝かせる我が子に、ニヤケ顔が収まらない!!

「もちろんだよ〜!
 すきなだけ持っておゆき〜!!」

どうせ経費だし!←

伏「どれも珍しいものばかりだから、
  伊作先輩も、新野先生も、お喜びになると思います〜!」

伏木蔵は優しさの化身だぁ〜!!

せっせと選ぶさまはどこかあどけない子供のようだけど

その瞳は一人の探求者のように鋭く光っていた

感なのか、知識があるからなのかはわからないけれど

毒薬に使われる薬草と、その解毒に使われる薬草

その両方を均等に選別して袋に詰めていた

「伏木蔵は、薬学にも精通しているのね」

伏「保健委員ですから〜!
  いつも伊作先輩と薬草摘みに行ったり
  勉強会を開いたりしているので、自然と身につきました〜!」


まだ調合したりは出来ませんけど、なんて言ってはいるものの

これだけ薬草の知識があれば、調合するなんて造作も無いんだろうな

まだ一年生ということで、調合なんかはさせないのだろう

「伏木蔵はいろんな忍びになれるかもしれないけど、
 戦場医にも向いてるかもしれないね〜」

伏「戦場医??」

「戦場で活躍する医者のことよ、
 忍びの要素もあれば重宝されるでしょうね!」

戦場医は自身も守りながら、味方を治療しなければならないため

決して死んではならないし、諦めてもいけない

とても重要な仕事である。

けど、それをやれるだけの素質を、この子は持っている

伏「とっても魅力的ですけど、
  僕は黒鷲隊に興味あります〜!」

ここでの黒鷲隊の役割は主に開戦前に敵の事前調査を行う、

”先行の術”や、敵を攻略する前に敵陣に潜入

待機して本隊の攻撃を助ける”直前の術”を行ったりする

隠密部隊である。

これほど忍者している隊は他にいないだろうな

伏「僕、気配消したりするの得意ですから〜!」

流石ろ組・・なのか?w

「伏木蔵は優秀だね〜
 じゃぁ黒鷲隊の小頭紹介してあげようか?
 未来の上司になるわけだし・・・」

伏「いいんですか〜!!?」

「忙しいお方だから、今すぐは無理だけど、
 夏休み中に一回くらい、出会えると思うよ!」

伏「楽しみだなぁ〜!」

伏木蔵が喜んでくれてなによりだ〜

押都さんの予定、あとで確認しておこう

「さてと・・薬学はこれくらいにして・・
 今日はお団子でも食べに行こうか!
 この谷の入り口にあるお団子屋さん、とっても美味しいのよ?」

伏「お団子行きたいですぅ!」

「うん、行こうか!
 雑渡さんに買って持って行ってあげようね、」

伏「こなもんさん、今日は任務なんですか〜?」

「そうなの。
 ああ見えて、組頭だからねぇ〜」

そうなのだ。今日は雑渡さんはお留守

組頭としてのお仕事に奔走しているはずだ

それでもいつもに比べて城に居る頻度は高い

多分、伏木蔵がいるからなるべく傍に居たいのだろう

伏「母上・・僕のお金で
  こなもんさんにお団子買ってもいいですか?」

「えぇ、もちろんよ。
 雑渡さんも喜ぶと思うわ。」

なんて健気なの・・・!!!?

多分雑渡さん、そのお団子食べられないカモね・・感動で()

伏「母上!早くいきましょう!」

「あ、そこ罠があるから気を付けてね〜!」

伏「は〜い!」
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