落第忍者乱太郎/忍たま

□第六ノ巻
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「長烈さん、ご報告が遅くなり
 申し訳ありませんでした。」

「いや、気にしなくていい。
 何事も無いのならいいのだ。」

「はい。
 ターゲットは処理しました。
 今弾さんが、後処理をしていると思います。」

「わかった。下がっていいぞ」

「はっ」

手短に報告を済ませ、部屋を後にする。

私の変化に気づいたのだろう、

気を遣わせてしまったようだ

「私もまだまだ、あまちゃんなのかなぁ〜・・」

着替えることもせず、袴のまま布団にダイブ

考えれば考える程ネガティブになっていく

「・・・今まで何人やってきたとおもってんの・・
 何今更良い人ぶってんだか・・。」

そうだ。今まで何人と殺してきたじゃないか。

彼女一人の命でここまで揺さぶられるなんて

今の私はどうかしてるんだ・・・

「くそっ・・・」

「荒れてるねぇ〜」

「・・・・今は雑渡さんと遊んでる気分ではないので
 帰ってもらっていいですか。」

布団にうっぷした顔を上げる気力もない

今はもう、誰とも会いたくない

「・・・なに、へこんでんの?」

「・・・煩いです」

「今回は女だったんだってね。
 それで君は同情したのかな?同じ女として」

「・・・・・煩いです」

「それに君くらいの年らしいじゃないか。
 それで凹んでるのかい、今更。」

「・・・・煩い」

「今まで何人と殺してきて
 今更偽善者ぶって彼女に詫びるのかい?
 すまないって・・・」

雑渡さんの気配を背に感じる

布団にうっぷした上に覆いかぶさられているようだ

「君はやっぱり甘ちゃんだね・・・。
 こちらの世界に染まりきれない半端ものだ・・」

「・・・・」

そんなこと、分かってる。

こちらの世界に来た瞬間から、私は異端者だ

忍の世界に足を突っ込んでいながら

こうも感情は不安定でターゲットに同情までする始末

とんだ半端ものだ

「あれ、言い返さないの?」

「・・・雑渡さんの言う通りですから。」

返す言葉もないとはこのことだ。

「・・・つまらないな。」

「ぅあっ・・」

ごろっと体をひっくり返され

仰向けにされたと思ったら首にグッと圧力がかかった

「面白い子猫ちゃんならそばに置いておくけど
 そんな腑抜けた奴は私はいらないよ」

「ぁ・・・ざ・・っと・・・・さん・・」

苦しい・・息が・・できない・・・

雑渡さんの目が、とても鋭く、私を貫いている

「私の可愛い子猫ちゃんは
 何処に行ってしまったんだろうね」

「ぐっ・・・・ぁッ・・・」

楽しんでいる。

この状況を、彼は愉快そうに瞳を歪ませていた

そして私もまた・・

「・・・っぁ・・」

この状況を楽しんでいた。

雑渡さんに必要とされないのなら、

ここにいる意味がない

雑渡さん自らの手で送られるなら、本望と言うものだ

「・・・ざっ・・と、さ・・・ん・・」

「・・・嬉しそうな顔しちゃって・・
 君ってやっぱり面白いね。」

「・・・ンッ!?」

なんで私は今、彼にキスをされているのだろうか?
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