落第忍者乱太郎/忍たま

□第十ノ巻
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二人の運んでいた薬草の一部を預かり

保健室まで運んでいく。

これからこれを天日干しにするらしい。

「運んでもらっちゃって、ありがとうございました。」

「気にしないで伊作くん。
 私も保健室に遊びに来ようと思ってたから」

「あの、遊んであげたいんですけど・・」

あ、そっか、これから作業があるのか

「伊作君は作業してていいよ。
 私は勝手に遊ぶからw」

学園内をブラブラしたいし

「あの、あまり学園内を
 ウロウロしない方がいいと思いますけど・・」

乱太郎君が不安そうに見上げてくる。

多分私の心配をしてくれているのだろう。

「大丈夫!
 変なところにはいかないし、
 なにか仕掛けるつもりもないよ」

乱太郎君の頭をひと撫でして保健室を出た

伊作君が呆れた顔をしてたようにも見えたが、

見なかったことにする!!

「学園は広いなぁ〜」

ここは忍たま長屋なのかなぁ〜?

あまり此処の地形は把握できていない。

今まで案内されたり、勘に頼ったりしていたからなぁ〜

「うわっ」

「ぁっ・・」

あっぶな、ぼけ〜っと歩いていたから、

誰かとぶつかりかけてしまった

「ごめんなさいっ」

「いっいえ・・って、あなた・・!」

「・・・あ、土井先生じゃないですか」

ぶつかりかけたお相手は

忍術学園、1年は組の教科担当の土井半助先生だった。

「アリカさん・・でしたよね?」

「えぇ。いつぞやはどうも・・。
 それからこの前も・・。
 庄左エ門に聞きましたよ、
 土井先生がここまで運んでくださったとか・・・」

いやぁ〜、土井先生が運んでくれなかったら

今頃死んでただろうなぁ〜

「あぁ、いえ。
 貴方には借りもありましたから。」

「借り・・・?」

そんなもの、あっただろうか?

「初めて会った時の・・」

「あぁ。」

あの死体処理の。

でもあれは私のせいでもあるし、

借りでもなんでもないような・・・

変なところ律儀だなぁ〜

「土井先生は優しいですねぇ〜」

「別に、そう云う訳では;;」

嫌味で言ったわけではないのだけど、

苦笑いで返されてしまった

「あの、なんで土井先生・・なんですか?」

どうやら私の呼び方がお気に召さないようだ。

私の中では"土井先生"は"土井先生"なんだけどなぁ〜

「よい子たちが皆そうやって呼ぶから、
 移っちゃったんでしょうねw」

あながち嘘じゃない。

影響されているのは確かだし

「なんだか変な感じですね;;」

「じゃぁ・・・半助さん・・とお呼びしても?」

「えぇぇ//!?」

名前呼んだだけなんだが・・?

照れる要素ある??

「なんか土井さん・・ってのは私の中でしっくりこなくて・・
 土井先生と、半助さん・・どちらがいいですか?」

もうこの二択以外ないぞ??

「あー、えっと・・・土井先生・・で、お願いします・・//」

「了解です、土井先生!」

やっぱり名前呼びは特別なのかなぁ〜?

「そうそう。
 尊奈門がまた土井先生に勝負吹っ掛けに来ると思うので
 コテンパンにしてやってください。」

「えぇ〜、同じお仲間では・・?」

また来るのか・・と頭を抱えつつ、疑問を投げかけてくる

「尊奈門は戦って成長するタイプですからね。
 実戦経験に丁度いいんですよ。」

もっと、彼には強く・・・。

あの甘さををどうにかしないことには始まらないだろうけど

「アリカさんも、実戦で強くなるタイプ・・ですか?」

「私・・・?
 ん〜、そうですね。
 私の仕事は実践あるのみですから。」

暗殺は訓練場ではなんの訓練にもならない。

あの現場独特の空気感や緊張感は、

訓練では補えない何かがある

「あの・・はっきり聞いたことがなかったのですが・・
 アリカさんのお仕事って・・」

なんだか聞きにくそうだ。

大人組には隠すつもりもなかったし、別にいいんだけどね。

「あぁ・・・暗殺業、ですよ」

「・・・」

少し空気がピリリとした

「でもこれ、子供たちには内緒ですよ?」

嫌われたくは、ないですからね・・・

そういえば、静かにうなずいてくれた。

まぁよい子たちの耳にはあまり入れたくない情報だろうし

「昔はフリーだったんですけどね。
 最近タソガレドキに就職したんですよ〜」

「最近・・あの、いつぐらいから・・?」

「え〜っと」

それ、気になるところなのだろうか?

「かれこれ半年にはなりますかねぇ〜?」

あんまり覚えてないけど

「・・・・もしかして・・化け猫・・ですか?」

「わぁ〜、その呼び名、久々に聞きましたよ〜」

まさか土井先生の耳にまで入っていたとは

私もなかなかやるな←

「アリカさんが・・化け猫だったんですか・・?」

そんな驚かなくてもいいのでは??

「えぇ。そうですよ?
 まぁ自ら化け猫と言った覚えはないんですけどね」

いつからか、そう呼ばれるようになっていたらしい

「まさか・・こんな子供だったなんて・・」

「・・・ん??」

子供とは・・聞き捨てならん!!

「お言葉ですが土井先生?
 私こう見えても26なので、あしからず」

「・・・・はいぃ??」

そのすっとんきょうな顔するのやめて??

「まったく、レディーに歳を言わせるとは
 土井先生もまだまだですねぇ〜」

「えっ、あ、いや、そのぉ・・・ッ」

「テンパリ過ぎですよ!
 それより、化け猫になにか言いたいことが
 あったのではないですか?」

あんなに聞いてきて、何もないことはないだろう。

「いや、その・・。
 最近ぱったりとうわさを聞かなくなったものですから・・・」

死亡説でもてていたんだろうなぁ〜

「化け猫は、タソガレドキの
 飼い猫になっておりました。
 っていうのが、真相ってやつですかね」

「かっ飼い猫って;;」

まぁタソガレドキ忍組頭のペットってのが正解かも知れないけど

「私の手綱を引けるのは
 あの人だけかもしれませんね〜」

包帯だらけの大男を思い浮かべて薄く笑う。

他の誰でもない。あの男にしか、私は操れないだろう

「じゃぁ・・その首の物は・・」

「ご主人様から頂いたものですよ」

私とあの人を繋ぐもの

「・・・あなたが想像している人物。
 なんとなくわかった気がします。」

「あら、土井先生って案外勘が鋭いんですね!」

「馬鹿にしてます??」

「全然!」

私の顔にでも書いてあったのだろう。

あの人曰く、私は顔に出やすいみたいだし

「それじゃぁ土井先生!
 私はもうちょっとブラブラして帰りますね!」

「あ、はい・・っ。
 って、あまりウロウロされても困るんですけど;;」

「大丈夫、大丈夫!今更じゃないですかw」

「あっ、ちょっと・・・!」

土井先生の制止を振り切って

学園探索を強制続行させた。
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