落第忍者乱太郎/忍たま

□第十ノ巻
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「えっさ、ほいさっ」

「げ」

ぶらぶら校庭周辺を散策していたら

穴を掘る音と、軽快な掛け声が

これだけで、この先誰が居るのか一目瞭然だ

「みーなかった、見なかった!」

知らないふりするのが一番!!

「おやまぁ。アリカさんじゃないですか〜」

「・・・・」

なんでこうタイミングよく穴から出てくるのさ・・!

「どーも」

「そんなに警戒しなくても、
 こんな所じゃ手なんて出しませんよ」

「ここじゃなかったら出すんかい・・!」

「はい」

即答かよ・・・!!

綾部喜八郎・・この子、マジで危険・・!!

いろんな意味で!!

「まったく・・喜八郎くんってば・・
 私なんかのどこがいいのやら・・・」

そんなに女に飢えてるのか??

「ん〜、全部ですかねぇ〜」

「ははは〜」

乾いた笑いしかでないぜ!

「アリカさんは、僕の事お嫌いですか〜?」

「ぅ・・・!!」

そっ、そんなおメメで見つめないで・・!!

可愛いんだよこの野郎!

「アリカさん・・・」

にじり寄ってくるその瞳は

何処か幼げなのに、ぎらついた雄みをも感じさせた

「だめだめだめだめっ・・!!
 組頭に気を付けろと言われたんだから
 私はその言葉に従わなければ・・!!」

「あ〜、あの包帯男ですかぁ〜?
 彼より、僕の方がアリカさんを幸せにできると
 思いますけどねぇ〜」

どっからくるんだ、その自信は・・!

「私ね、平凡な幸せなんてクソくらえなの。
 スリルとサスペンスがなきゃ、人生じゃないでしょ?」

やっぱり君の愛は私には優しすぎるなぁ〜

「・・・だいぶ、あの男に毒されちゃったみたいですね。」

「そうかもね。」

彼の甘い甘い毒に、私の体はもう犯されている

「まぁいいや。
 彼に飽きたら、いつでも僕の所に来てくださいねぇ」

「考えておくよ。」

興味を削がれたのか、喜八郎はまた穴掘りに戻っていった

この一帯、落とし穴だらけだな・・

気を付けよ!
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