落第忍者乱太郎/忍たま

□第十ノ巻
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「もう日が傾きかけてるな・・」

そろそろ日が沈むころ。

私の帰りのスピードを考えると、

そろそろお暇した方がよさそうだ。

「伊作君に一言言ってから、帰るか。」

流石に何も言わずに帰るわけにもいくまい。

長屋の方に足を向け歩いていると

グイっと急に腕を引っ張られた。

「わっ・・!」

「やっぱり・・アリカさんじゃないですか・・!」

「・・・利吉さん。」

なんで、ここに彼が・・・

っと。そうか。

山田先生に御用だったんだろうな。

「なぜ、タソガレドキの貴女が、
 此処をうろうろしているのですか?」

「っ・・」

私の事をしらないと、やっぱり警戒するよね;;

でも、腕痛いッス

「利吉さん、角々云々なんですよ。」

「なるほど・・そんなことが・・。」

いやぁ〜、魔法の言葉だよね、これって

「あの、利吉さん、腕を・・・」

離していただけるとありがたいのだが?

「あ、すみません・・!
 強く握りすぎてしまいましたね・・」

私の手首に、うっすらと手形が

元々色白なところもあったから、

余計に握られた跡がくっきり見えるようだった

「大丈夫ですよ。直ぐ直りますから。」

こんなの、出城に戻るころには消えているだろう

「・・今日は、彼はいないでしょうね?」

「ん?」

彼・・とは誰だろうか?

「以前、君を掻っ攫っていった男だよ」

「あぁ、組頭ですか。」

掻っ攫ったって言い方はどうなんだろうか??

「いませんよ。
 今日は私休暇で遊びに来ているだけですから。」

「タソガレドキの貴女が
 ここに遊びに来ちゃまずいでしょ;;」

「えぇ〜、やっぱりまずいんですかねぇ?」

ちゃんといつも入門表にサインしてるのだけどなぁ?

「ほどほどにしておいた方が、いいと思いますよ?」

「ん〜、無理な相談だぁ〜」

私も雑渡さんみたいに、忍び込めるようになれれば

皆と遊べるのかなぁ〜

「そんなに、此処が好きなら
 いっそのこと、この学園で働いてはどうですか?」

事務員さん、募集しているみたいですし。なんて

言ってくれたけど、それとこれは別なのだ!

「ここは遊びに来るからいいんだよ。
 私の居場所は別にあるからね。」

「・・・・タソガレドキですか?
 それとも、あの男の傍ですか・・・?」

「その二つって、同じ意味じゃないの?」

タソガレドキは彼であって、彼はタソガレドキなんだ。

表裏一体みたいなものだ。

「全然違いますよ。
 君は・・アリカさんは・・
 あの男の傍に居てはいけない」

「・・・ホント、うちの組頭は嫌われ者ですねぇ〜」

なんでみんなそんなに

私とあの人を引き離そうとするのだろうか?

「いや・・すまない。言い方を間違えたようだ・・。

 君には、私の傍にいて欲しい・・・。」

「・・はい?」

どいつもこいつも・・

なんで、私なんかに構うんだろうか?

「君の事、もっと知りたくてね。
 私と一緒に、こないか?」

「お断りするよ、利吉さん。」

とっても素敵なお誘いだけれど

それに揺れ動くほど私の意思は弱くない

「忍びなら、近くに居ようが遠くに居ようが関係なく、
 私の事を探ってみたらどうですか?」

私の事なんて知ったって、碌なことないだろうに

物好きな人だなぁ〜

「・・・ははっ、フラれてしまったか」

「・・フラれたと嘆くわりには
 あっけんからんとしてますね」

「まぁ。これから徐々に攻略して行くさ。」

私はゲームかよ!

「ま、ご自由にどうぞ〜」

私は面倒ごとはごめんだ。

「私、そろそろ帰らないとまずいので、
 これで失礼しますね」

「あぁ・・もうこんな時間か・・。
 送って行こうかい?」

「結構です。」

だから、隠れ出城なんだから・・!って前にも言ったのに

この人は懲りないんだから・・

利吉さんに、気を付けてね。なんて言われながら

医務室を目指す。

もう、変なところで時間を食ってしまった。

早々に帰らねば!
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