落第忍者乱太郎/忍たま

□第十ノ巻
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「失礼しま〜す!」

医務室にお邪魔すれば、伊作君1人で包帯巻き巻きしていた

「アリカさん!
 ずいぶん遅かったですね?」

「いやぁ〜、いろんな人に絡まれちゃってさ;;」

あまりうろつくのはよくないのかもしれないな。

「・・・なにも、されませんでした?」

「これ〜っぽっちも?」

なにを心配する事があろうか??

「あ、大丈夫だよ!
 わたしも流石に忍たまに手は出してない!」

「だっ、だれもそんな心配してませんよっ//!!」

ちがったかw

「あ、そうだ。
 あの怪我してた時の包帯。ありがとうね!」

「そんな、保健委員として当然ですよ!」

「いや、腕の包帯じゃなくて首の包帯。」

たしか綺麗に巻きなおしてくれていたはず・・。

ホント手際がいいなぁ〜

「・・・あぁ、首の・・ですか。」

あれ?なんか、空気変わった?

「えーっと、じゃぁそろそろ帰るね?」

こういう時は逃げるが一番・・!!

「待ってください。」

「うわっ」

伊作君が急に腕を引っ張るもんだから、

後ろに倒れこんでしまった。

そう、伊作君の胸元あたりに

「伊作君・・?」

「首の噛み跡・・・誰につけられたんですか?」

「あー・・・」

やっぱり見られてるよねぇ〜

あの時はまだくっきり跡が残っていたはずだし

「本当に知りたいの?」

そんな事聞いたって、伊作君には何にも関係がないのに

「・・・大体予想は出来てますけどね・・」

「なら、その人ってことでいいんじゃないの?」

私もずっとこの体制は恥ずかしい・・

見ようによってはバックハグされてるようなもんだし。

「雑渡さん・・ですよね?」

「答え合わせは必要なこと?」

今日の伊作君は、いつもと違って積極的な感じがするな・・

そんなに大事なことなのだろうか?

「はぐらかさずに、ちゃんと答えてよ」

「・・・そうだよ。」

あれ?伊作君って、こんな感じだったっけ?

「・・・痛かったでしょう・・?」

「っ・・・」

うなじをなぞる手にビクつく

いたわる様な、優しい手つきではあるが

今そこにはもう、何もないのに

伊作君の目にはまだ、あの噛み跡が私の首に見えるのだろうか?

「・・・鬱血していましたよ?
 ここも・・ここも・・」

「ッ・・あの、伊作君・・?」

一か所一か所、跡があったであろう場所に指を這わせていく

正直、くすぐったい

「・・あの数日後にね、雑渡さんが包帯を変えに来たんだ。」

「へ〜」

急に話が変わった・・

伊作君は、何が言いたいのだろう・・・

「驚いたよ・・。
 あの人の首にも、同じような・・いや少し違うな
 小さくて可愛らしい歯形がくっきり残っていたから・・」

「・・・・」

そうだ・・。

私も彼に・・・印を残したんだった・・。

「・・・君と雑渡さんの関係をとやかく言うつもりもないし
 聞くつもりもない。
 けどね・・・」

けど・・なんだ?

そのあとの言葉が、伊作君の口から続かない

「ぃ・・・ッ!!?!?」

私の頬に伊作君の髪がたれてきたかと思えば

首筋に痛みが走った

「いさ・・く、くん・・!?」

「んっ・・」

「ぅあっ・・・!」

伊作君の歯が、私のうなじに食い込んでいく

「・・・僕だって、君の物になってもいいのに・・」

「んっ・・」

血が出ているのであろううなじをペロっとひと舐めされた

「あぁ、ごめんね・・。
 血が出ちゃったね・・。」

「いさく・・くん・・」

うなじを丁寧に舐め、止血する姿は

なんだかまた別人で・・

混乱する頭では何も考えられなかった。

今私はなにをされて、何を言われたのだろうか??

彼は、本当にあの伊作君なのだろうか・・?

じんわりと感じる首の熱は、いったいなんの熱なんだろう・・

だめだ、頭がパンクする・・!!

「引き留めちゃってごめんね?
 立てるかい?」

「・・・うん。」

私をゆっくりと立たせてくれる彼は

いつもの優しい笑みを浮かべていた

「それじゃぁ、気を付けて帰ってね?
 雑渡さんにもよろしくね!」

「うん・・それじゃぁ・・。」

いつもの彼だ。

何もおかしいことは無い。

今までのが、幻だったのだと思い込みたくなるほどに

けれど、首に感じる熱が

今までの事が現実だということを突きつけてくる

「頭がパンクしそうだよ・・」
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