落第忍者乱太郎/忍たま

□第十二ノ巻
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「服、汚してしまって悪かったね・・」

咄嗟だったために、私の手についていた血が

伏木蔵の制服にべったりと付着してしまっていた

「裏返しに着れば隠れますから、大丈夫です!」

「ん〜、そうはいっても・・」

早く落とさないと染みになってしまうし・・

「伏木蔵、よかったらタソガレドキ城に来ない?
 本城じゃなくて、忍者隊の出城だけど」

うちなら洗濯もできるし、替えの着物も用意できる

「えぇ〜!いいんですかぁ!!
 すんごいスリルですぅ〜!」

「汚してしまった責任もあるしね、
 お城の場所は、内緒だよ?」

「はい!二人だけの秘密です!」

「良い子」

本来、部外者に出城を教えることは許されないだろうけど

今回ばかりは目を瞑っていただきたい・・!

処分があれば、甘んじて受けよう

「この死体、どうするんですか?」

「もう少ししたら私の部下が取りに来るの。
 伏木蔵、あんまり見てはだめよ」

死体に少し近寄り、それを見下ろしている彼の腕を引っ張り

距離を取らせる。

慣れていると言っても、私はあまり見てほしくはなかった

「アリカさんのお仕事って、とってもきれいですねぇ〜」

「そんなことないよ。」

弾さんにも言われたな・・・。

どこが綺麗なんだか

「綺麗ですよ。
 ちゃんと死体に敬意を払っているように感じました!
 一つ一つ丁寧に関節から断ち切っているし!
 なるべく状態を保ったままにされてるし!
 すごいです〜!」

「・・・よく、見てるのね」

驚いた・・・。

この物怖じしない態度、冷静に分析する頭

この子は本当に一年生なのかと疑ってしまうほどに・・・。

「だって僕、アリカさんの事大好きですから!」

"好きな人の事はよく観察しちゃうんです!"

なんて、かわいい事言ってくれる・・ッ

「まったく・・」

「えへへへ//」

頭を撫でる手が止まりそうにないな・・!!

「さ、行こうか。」

「はーい!」

しっかりと手を繋いで、出城へと向かう

この手のぬくもりは、任務後の荒んだ心にはじんわりと響く

「それにしても、伏木蔵の観察力は素晴らしいね。
 忍者に向いてるよ」

「そうですかぁ〜?
 嬉しいです〜!
 あっ、僕、こなもんさんの事もよく観察するんですけど
 とっても不思議な方ですよねぇ〜」

まぁあの人は底知れない部分が多いから

伏木蔵のミステリーハンターの血が騒ぐのだろうなぁ〜

「組頭の事は、部下の私でも底が知れないからね」

「へぇ〜!
 アリカさんの前では包み隠しさず、
 接してるものだと思ってました!」

「へ?どうして?」

「だって、こなもんさん。
 アリカさんの事大好きじゃないですかぁ〜!」

「ぶふっ・・!!?」

なっ、なぜに!?

そんなにあの人分かりやすく態度に出してたの!?!?

「それにアリカさんもこなもんさんのこと、
 大好きですもんね!」

「はぅわっ・・!!?」

何故だ・・!!

私達、バレバレなのか!?!?

それは忍者としてどうなんだ!?!?

「ふっ・・伏木蔵・・なんで、そう思うの?」

「お二人の顔を見てれば分かりますよぉ〜
 とっても幸せそうな顔してましたもん!」

「・・はぁ〜」

やれやれ;;

私の表情筋仕事しろ・・!!

「もしかして秘密の関係でしたか??
 大丈夫です!僕口固いですから!」

「あ〜うん。ありがとう。
 けど別に秘密って訳じゃないから気にしないで?
 まぁあまり言いふらさない方がいいんだけどね;;」

ぺらぺらと吹聴することでもない

「すんごいスリルとサスペンス〜!」

「いや、サスペンスはないよ?」

私らの関係にサスペンスまであっちゃ、

たまったもんじゃない!

「アリカさんとこなもんさんは、
 契りを結ばれたんですか?」

「ちぎっ・・・///!?!?
 ふっ、伏木蔵なにをいって・・!!」

今時の一年生はおませさんなの!?!?

「だから、夫婦の約束を交わされたんですか?」

「あ、そっちか」

契りを結ぶ=肉体関係を結ぶ

という意味と、言葉そのままに

契りを結ぶ=婚姻の約束をする

という二つの意味がある

まったく私の頭の方がふしだらじゃないか・・!!

「アリカさん、それ以外に意味があるんですか〜?」

「・・・あ〜、土井先生に聞いてみて?」

土井先生、ファイト!(丸投げ)

「分かりました〜!
 それで、どうなんですか〜?」

グイグイくるなぁ〜

「ん〜、恋仲・・ではあると思うよ?
 けど、夫婦になるかどうかはわからないなぁ〜」

こんな世の中で、仕事も仕事だし。

お互いの立場というものがある。

個人的には今のままずっとおそばに居れたら満足なため

結婚願望はない。

「こなもんさんは
 旦那さんにふさわしくないんですかぁ〜?」

「そういうことじゃなくってね。
 お互い立場というものがあるから、
 簡単に結婚、なんてできないんだよ」

「そういうものですか〜」

「そういうものなんだ。」

未だ不思議そうにしているが、理解はしてくれたのかもしれない

「さぁ伏木蔵、もうそろそろ出城だよ」

「はい〜!」
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