落第忍者乱太郎/忍たま

□第十二ノ巻
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裏口からコソコソと入りお風呂場へ案内する

「さぁ、お風呂に入っておいで!
 その間に洗濯してしまうから」

「ありがとうございます〜!」

伏木蔵を浴槽に案内して、着替えの着物を置いておく

その間に外の井戸で洗濯を始める

「よし・・これなら綺麗に落ちそうだ」

ゴシゴシとこすり合わせれば、赤い汚れが綺麗になっていく

沁みにならなくてよかった!

「なにしてるの?」

「っ・・!!?
 あ・・あぁ、組頭でしたかぁ〜」

なんでこの人は気配を消してくるんだろうか・・!!

「それ、忍たまの制服じゃないの?」

「えぇ、伏木蔵の物です。
 ちょっと血を付けてしまって・・
 彼は今お風呂です」

「なに、連れてきちゃったの?」

「え〜っと・・・かくかくしかじかでして・・」

「なるほどねぇ〜」

ナイス魔法の言葉・・!!

「すみません・・すべて私の不手際です」

膝をついて頭を下げる

何かしら言われたって、文句は言えない

「いや、構わないよ。
 見られたのが伏木蔵でよかったね。
 あの子はなかなかの忍たまだよ」

雑渡さんはどうやら彼の本質には気づいていた様だ

「えぇ、私もそう思いました・・」

それにもう一つ・・相談事があったのだ・・

とてもおこがましい相談事が

「・・・何か言いたそうだね?」

「えーっと・・・ここでは何なので、お部屋に伺っても?」

「構わないよ。
 行こうか」

「はっ」

雑渡さんの後ろに続いて、部屋へと向かう。

完全に物は試しに!みたいな感じだから

当たって砕けようと思う!

「それで、話しって?」

雑渡さん・・横座り・・いや、うん、何も言わないのがお約束!

「・・・雑渡さん・・」

組頭と呼ばないときは、プライベートの合図でもある

「子供、欲しいですか?」

「・・・ん?」

うわぁぁぁああぁ、要点すっ飛ばしの、

脈絡ない質問してしまったぁぁあぁ!!

そりゃ雑渡さんもキョトンとするよねぇ〜!!

「あ、いやっ、その・・!
 すみません、最初っからお話します!!」

「そうしてくれると助かるよ・・」

よし!と一息入れてから先ほどの質問の説明をした。

この話しに至る発端は伏木蔵である。

彼の身の上を聞いた以上、それが私のエゴでも

どうにかしたかった。

彼にはまだ、傍で支えてくれる、守ってくれる存在が必要だ。

私は、あの子のそういう存在でありたい。

だから養子という形であの子を迎えたいという話しだ。

なにも雑渡さんにお父さんになってほしいわけじゃない。

ただ、私があの子を迎え入れれば自ずと関わることになるため

子供がこの出城やお傍でウロウロしてても大丈夫かっていうのを

聞いておきたかったのだ。

にしても、あの問いかけはなかったな;;

「・・・という、事なんです」

「なるほどねぇ〜」

ゆっくり目を閉じて思案しているようにも見えた

「じゃぁ籍入れないとだね」

「ん?」

今度は私がキョトンとする番だった

「君一人じゃ、養子なんてむりだからね
 伏木蔵くんを私たちの子供にしちゃおうか〜」

「ふぇ・・??」

なんか、話が思わぬ方向にいってないか??

いや、理想はそんな感じになれたらなぁ〜なんて思ってたけど

けど、まって、本気!?

「あの、雑渡さん・・。
 私から提案しといてなんですが、大丈夫なんですか!?」

「私組頭だよ?偉いから大丈夫」

うわっ、この人が云うと現実味がやばい・・!!

「あの、でも、まだ伏木蔵には何も話してなくて、
 今までの全部私の願望ってだけで・・!」

なんで私が一番てんぱってんだろう!?

こうもスムーズに進むと、逆に不安になるのか!?

「じゃぁお風呂から上がったら聞いてみないとだねぇ〜」

「そうですけども・・・!!」

あぁ〜、振り回すかもしれないと危惧していたのが馬鹿らしい!

結局私が振り回されてないか!?

「雑渡さん・・・・私と夫婦に・・なってくれるんですか?」

「嫌かい?」

「いっ、いえ・・!
 けど、その、立場的なあれやこれやで・・!」

「・・・まぁいろいろと面倒かもしれないねぇ〜
 それに事実上夫婦って事で。
 書面に残すことは出来ないからね・・。」

つまり、現代で言う事実婚はOKだけど、

公的な契約は結べれないということだ

「いや、まぁその辺は覚悟してたので別にいいです。
 雑渡さんの傍に入れるならどんな形であれ幸せですから・・」

「・・・君ってば、たまに男前でホレボレするねぇ〜」

「え?そうですか??」

男前なんて初めていわれた・・!!

「さて、こちらの意見は固まったね。
 後は伏木蔵しだいだ。」

「はっはい!!」
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