落第忍者乱太郎/忍たま

□第十七ノ巻
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ところ変わってある山奥に伊作君と二人でいる。

今回のターゲットがこの先の山小屋に潜伏している様だ。

抜け忍らしく命からがらタソガレドキ領内に逃げて来たらしいが

袋の鼠もいいところだった

「私が仕留めてくるから、伊作君はここにいて?
 終わったら呼びに来るから」

伊「一人で危険では?」

「暗殺はね、一人が基本よ?
 気づかれる前に殺るのがセオリー、
 複数で行けばそれだけリスクが上がるわ」

伊作に念押しの為もう一度、待っているように伝えて

寸鉄片手に、小屋へと歩みを進める


コンコン・・

「もし・・・どなたかおられませんか?」

いつもより声色を高くして女らしさを強調する

中から物音がして、ゆっくりと扉が開けられた

男「・・・なんだ」

「道に迷ってしまいまして・・
 町への行き方を教えていただけないでしょうか?」

男「そんなものはしらぬ。いね」

吐き捨てる様にそう言った後

素早く扉を閉めようとしたが

そうなる前に戸に足を挟み阻止

驚いている隙に、手の甲に毒針を刺した


男「ぅッ・・・!!
  おっおまえ、は・・!!化け猫・・か・・!!」

手の甲を抑えてのたうち回りながら、

私を認識したようだ

「おや、ご存知でしたか。腐っても忍びですね。」

忍びの間では、私の事は度々話題になっていたようだ

男「こんな、おんな、に・・・!!!」

こと切れたのか、そのまま男は喋らなくなった

「・・・伊作君にあとは頼むか。」

少し離れた場所で待機している伊作君の方へ足を向ける

「お〜い!
 後はお願いしていいかな?」

茂みに向かって声を掛ければ、伊作君が顔をのぞかせた

伊「はい!まかせて・・・っアリカさん危ない!!」

「ぇ・・」

伊作君がタックルしてきたかと思えば、

私の頭すれすれに手裏剣が跳び目の前に木に突き刺さった

男「く・・・そ・・・ッ」

絶命したかとおもっていたら、ただ気絶していただけのようで

男が苦しみながらも、手裏剣を握っていた

「・・・ごめんなさい、伊作君。
 これは私の落ち度だわ。」

男の死を確認しないなんて、初歩的なミスをしてしまった。

伊作君を危険な目に合わせるところだった・・!

不甲斐なさとやるせなさで、寸鉄を握る手に力がはいる

伊「いえ、気にしないでください!
  こうしてあなたの事をお守りできましたから!」

すごくいい笑顔で、言ってくれるもんだから

なんだか毒気が抜けていくようだった

伊「アリカさんは休んでて下さい!
  後処理は僕の役目でしょ?」

いつもの笑顔、いつもの口調で私を木の根元に座らせて

男の元へと向かって行く。

どれもが自然な流れ過ぎて、伊作君を引き留めることは叶わなかった

遠目から眺めていると、彼は後々処理しやすいように

男の関節を一つ一つ丁寧に外していった。

最初こそ、痛さで叫び声をあげていた男だったが

最後の方になれば毒のせいなのか、

痛みのせいなのかは分からないが

静かになり、絶命していた。

男の叫び声に紛れて

伊作君が男に何か言っているようだったけど

それを聞き取ることは出来なかった。
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