落第忍者乱太郎/忍たま

□第十九ノ巻
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「ンッ・・・」

やば・・変な時間に目が覚めた・・・

二人を起こさないように、そっと布団から抜け出した。

「満月か・・・」

鈴虫たちの声が心地よく耳に入る。

急に目がさえてしまい、しばらく眠れそうにないな。

「殿はいつまでいるんだろうか・・
 早く帰ってくれないかなぁ〜」

あの感じだと2.3日は滞在しそうで厄介だ。

伏木蔵と一緒なのはうれしいけど、早く彼のもとに帰りたい

「数時間でホームシックとは情けない・・・」

縁側で一人、池に浮かぶ月を見つめる

満月は彼を彷彿とさせて、自然と口元が緩んだ

「あれ?アリカさん?」

「っ・・・あら、尾浜君じゃない」

びっくりした、こんなに近くにいたなんて・・。

彼も中々才がある・・。

勘「勘右衛門と、呼んでください」

彼はにっこり笑い、私の隣に腰を下ろした

「それじゃぁ勘ちゃん、こんな夜更けにどうしたの?」

勘「勘ちゃん・・・まぁいいですけど・・。
  なんだか寝付けなくて・・
  アリカさんはどうしてここに?」

「かくかくしかじかで、しばらくご厄介になるんだ〜」

殿と寝たくないから、なんてことは省いて説明した

さる事情で城に帰れないからと

勘「なるほど・・。
  でもどうして黄昏甚兵衛がいる時に?
  普通、殿様が居たら護衛ならなんやらで
  人手が必要でしょう?」

「ん〜・・・どうしてでしょうねぇ〜」

勘ちゃんってばなんだか鋭くてやだなぁ

勘「なにか殿様と会いたくない理由でも?」

その核心じみた瞳は何もかもお見通し、と

言われているような気がした

勘「アリカさん?」

「勘ちゃんってば、知りたがりねぇ〜」

勘「性分、ですかね」

ニコニコ笑うその顔にどこかゾクリとする感覚を覚えた

「・・・殿に気に入られてしまってね・・。
 この意味、勘ちゃんはわかるでしょ?」

勘「・・・なるほどね。」

呑み込みが早くて助かるよ。

「そろそろ限界だったし、ちょっとした抵抗ってやつかな。」

精神的にいいものではない。

勘「確か、アリカさんと雑渡混奈門さんは夫婦では?」

「まぁそうなんだけど。
 そんなのうちの殿には関係ないしね・・・」

我が道を行く殿に、我ら部下の事情などしったこっちゃないのだ

勘「お辛いですね・・」

「・・お子様がそんなこと気にしないの!」

勘「うわあっ」

頭をこねくり回してやった!

「殿の事以外は幸せだし、何も問題はないの!
 可愛い息子と愛する旦那様がいる。それだけで十分!
 勘ちゃん、変な話してごめんね?」

勘「いっいえ;;
  話を聞いてあげることしかできませんから・・」

「いい子いい子」

勘「あの、もう僕5年生なんですが;;」

いやぁ、ふわふわな髪の毛で撫でやすいなぁ〜w

「いい子にはこれしてあげないとね笑
 さ、もう夜も遅いし部屋に戻りなさい?」

勘「は〜い。
  アリカさんもゆっくり休んでくださいね!」

「うん、ありがとう。
 おやすみ勘ちゃん」

勘「おやすみなさい・・」




・・・――――




少し話してすっきりしたのか、眠気がまた襲ってきた

「ふわぁ〜・・そろそろ戻ろうかな・・・。」

明日の朝は早い

そろそろ寝ないと明日の仕事に支障が出そうだ

襖をゆっくり開ければ、二人が静かに寝息を立てていた

「ほんと天使の寝顔・・ッ」

ひとしきり彼らの寝顔を観察してから床に就いた

「おやすみなさい」
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