落第忍者乱太郎/忍たま

□第十九ノ巻
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「疲れたぁ〜」

初めての授業で緊張してか、一気に疲れた・・。

食堂のおばちゃんにお茶を貰って、一人食堂で寛いでいた

伊「あれ?アリカさんおひとりですか?」

「やぁ伊作君。
 二人に見える?」

伊「あははは;;そういう事じゃないんですが・・;;
  休憩中ですか?」

「ん、まぁね。
 さっきまで一年は組で授業してたんだけど
 やっぱり慣れないことはしない方がいいね・・。」

あ〜しんどみ

伊「僕のその授業受けてみたかったなぁ〜」

「勘弁してよ;;
 それに君には個人的にみっちり教えることがあるんだから、
 覚悟してなさい?」

卒業後、私の部下になるのならそのへんはみっちりしないとね!

伊「そうでしたね、
  明日朝帰られるんでしたっけ?」

「えぇ、その予定だよ。」

なんだかあっという間だったなぁ

伊「暫くすれば長いお休みがあるんです。
  その時また、ご指導願えませんか?」

もうそんな時期になるのか・・

「私は別にいいけど、一応雑渡さんにも聞いてみないとなんとも
 それにいいの?せっかくの休みなんだし、
 実家に帰っても罰は当たらないわよ?」

この子はちゃんと実家に帰っているのだろうか??

伊「あぁ、うちは問題ないので。
  両親ともに行脚の身ですし、帰ったところで誰も居ませんから」

「あー、そう。」

伊作君は寺の子だったから・・。

ご両親ともに僧としての修業に明け暮れているのだろうな

「たぶん雑渡さんもいいって言ってくれると思うし、
 そうなればみっちり指導することにするよ。」

伊「よろしくお願いします!」

なんか、彼がタソガレドキに入るの、完全に受け入れちゃったなぁ

「ねぇ、この前乱太郎に言ってた"誓い"って何?」

ちょっとした、好奇心で聞いてみることにした。

伊「・・・あぁ、あれですか。
  それは・・あなたと共に、貴方の為に、貴方を守って生きていく。
  それが僕自身に立てた誓いです。」

「・・わたし?」

伊「僕の本質を一番わかってくれていてなお、
  みんなと同じように接してくれる貴方に、
  僕は魂を救われました。
  今度は僕が、貴方の穢れなき魂を守っていきたいんです」

「・・・伊作君には申し訳ないけど、
 この魂はもう、穢れきってるわ・・。」

人を殺めても何も感じないほどに、ドス黒く腐敗している

伊「いいえ。それは違いますよ・・。
  あなたの魂は穢れても尚輝き続ける。
  純白の魂ではなく、漆黒の魂で・・。」

スッと伊作君の指が、私の胸元を指した

伊「その鈍く輝く、朔の夜の様な明かりを
  僕は守っていきたい」

まったく・・・ロマンティックでもなんでもないな

黒くどす黒い魂の方が貴方にお似合いだ

そう言われているような気がした

けど、実際そうなのかもしれないな。

今更真っ白になんて戻れるわけがない。

「君の純真無垢な魂でさえも、
 私の傍に居れば黒く穢されてしまうよ?」

私も、指を彼の胸にトンっと置いた

私の魂が朔の様だというのであれば、

全ての明かりを飲み込むのも、私だ。

伊「僕は喜んで、貴方の色に染まりましょう・・。」

黒は全ての色を侵食し

混ざりあった全ての色が行きつく末路

君も、こちらに来てしまうのね・・・。

「それは・・・楽しみだね・・。」

私は今、うまく微笑めているだろうか?

その瞳に光や宿ってはいなかった。
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