蟲師
□漆ノ巻
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けもの道を辿り 山深くに分け入る。
最近は日が堕ちるのもすっかり早くなり
気が付くと辺りは暗くなっていた。
「ギンコ、明かりを・・」
ギ「あぁ、そうだな。」
提灯に火を灯し
そっとギンコに手渡した
ギ「やれやれ・・・日の暮れるのが早くなったな」
「冬が近づいている証拠ですね・・。」
まだまだ温かいとはいえ
もう冬の影はじっとりと迫っているようだった。
しばらく夜道を歩いていれば
前を行っていたギンコがピタリと足を止めた
「っと・・どうしました?」
急に止まったギンコに
ぶつかりそうになりながら
ギリギリのところで足を止めた。
ギ「人だ・・」
「人・・?」
こんな夜更けの、こんな山の中に人とは
どうしたことかと、ギンコの背後から顔を覗かせれば
道端で座り込む老婦が一人いた。
「ほんとだ。」
そっとギンコと顔を見合わせれば
ギンコは少々めんどくさそうな顔をしながらも
老婦に話しかけるのだった
ギ「もし・・」
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